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白血病は再発率が高い!?その実情と今後に期待できる研究内容を解説

白血病は、血液や骨髄に発生するがんの一種。再発率が高いがんの一つとされています。再発率の高さは、白血病のがん細胞を完全に排除するのが難しいという一因があるためです。
再発は、完全寛解状態(がん細胞が見つからない状態)にある患者にも起こりうるため、再発予防や早期発見は白血病治療の重要な課題です。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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白血病が再発⁉どのような状態なのか概要を解説

白血病の再発は、治療後、一時的に症状がなくなる寛解状態から、がん細胞が再び増殖しはじめる状態を指します。再発は、完全ながん細胞の除去が困難であるために起こります。以下に「再発」はどのような状態で起こるのかを解説します。

がん細胞が残存していた

白血病の治療は、がん細胞を完全に排除することを目指しますが、稀にがん細胞が残ってしまうこともあります。これらの残存がん細胞が再び活発に増殖することで再発が生じます。

細胞の変異が起こる

がん細胞は遺伝子の異常を持っており、これによって治療に対する耐性がついてしまうこともあります。このような変異によって、がん細胞が再び増殖し再発を引き起こすこともあります。

(参照:Leukemia—Patient Version|An official website of the United States government)

白血病の再発率と生存率

白血病の再発率と生存率は白血病の種類やステージ、治療法などによって異なります。以下に一般的な傾向としての再発率と生存率について解説します。

・再発率

白血病は完全寛解状態(がん細胞が見つからない状態)にある患者でも再発する可能性があり、どの程度治療が進んだか、種類や病期によっても大きく異なります。急性骨髄性白血病(AML)は比較的再発率が高い白血病と言われており、再発率は約40%と言われています。

・生存率

白血病の生存率も、患者の病状や治療法の選択によって大きく異なります。特に急性白血病では、初期の診断と迅速な治療が生存率に重要な影響を与えます。急性白血病の5年生存率は骨髄性やリンパ性、治療法などによって異なりますが、治療を受けた場合、50-80%に達します。(参考:急性白血病|標準医療情報センター 監修:東京女子医科大学 名誉教授泉二 登志子)

慢性白血病の生存率は、種類によって異なります。慢性リンパ性白血病(CLL)の場合、初期段階では比較的良好な生存率を示すことがあり、長期生存が期待されます。慢性骨髄性白血病(CML)では、分子標的治療の進歩により高い生存率が報告されています。

(参照:Cancer Stat Facts: Leukemia|An official website of the United States government)

移植治療を受けた後の再発

移植治療は、患者の体内の白血病細胞を除去し、健康な造血幹細胞を移植することで再発を抑制する治療法です。

しかしそれでも、再発のリスクは完全には排除されず、患者の状態や治療の成功によって再発の可能性が異なります。移植後の再発のリスク要因について解説します。

1.移植前後の状態

移植前に完全な寛解状態が得られていている場合、白血病細胞が残存していない状態とも言えるので再発率は低くなります。反対に完全な寛解でない状態でやむを得ず移植に踏み切った場合には、再発の可能性が飛躍的に上がります。

また、移植後に白血病が寛解しているかどうかも同様。「白血病細胞の残存数」が予後に関わる重要な要素と言えるでしょう。症状の消失に至るかどうかにより移植後の予後は大きく異なります。

2.移植の種類

移植には、自家移植(自己の幹細胞を使用する)や同種移植(関連または他人のドナーからの幹細胞移植)などがあります。移植の種類によって再発リスクが異なる場合があります。

再発時の症状と早期発見の重要性

速やかに治療が進められたとしても白血病が再発する可能性は「0」ではありません。白血病の再発時に現れる症状について解説します。

・血液検査の変化

白血病が再発した場合、白血球数や赤血球数、血小板数などの血液検査の数値が異常になることもあります。また、再発した白血病細胞が骨髄に再び増殖し、再発の発見となるケースもあります。

・疲労感と倦怠感

再発による貧血や体力の低下により、疲労感や倦怠感が現れることもあります。初期症状の時と同じように、赤血球の量が減るために起こる症状です。

・発熱と感染症

再発により免疫機能が低下するため、発熱や感染症状が見られることもあります。正常な白血球が少なくなるために起こる免疫力低下に起因します。

・骨痛や関節痛

白血病の再発により、骨髄内に異常細胞が増殖することで骨や関節に痛みが生じる場合があります。

・リンパ節の腫れ

再発によりリンパ節が腫れることもあります。

定期的なフォローアップと血液検査が再発の早期発見に役立ちます。白血病の治療を受けた場合は、定期的な検査や医師の指示に従い、体調の変化を意識しましょう。

小児の白血病における治療と再発率

小児の白血病の治療は、通常、化学療法が主流です。実際の治療は白血病のタイプや進行度によって異なりますが、一般的には以下のようなアプローチがあります

・寛解導入療法

骨髄中の白血病細胞を減少させ完全寛解状態(白血病細胞が5%以下)になることを目指して最初に始められる化学療法。
白血病細胞を除去するために、強力な化学療法が行われます。この段階では、できるだけ多くの白血病細胞を排除することを目標としています。

・強化療法

寛解導入療法の後、定期的に続けられる薬物療法。これにより、再発を防ぐために残っている白血病細胞を完全に除去し、病気の再発を予防します。
一般的には寛解導入療法で完全な寛解状態になった後で選択される治療です。

・骨髄移植

再発が疑われる場合や初回治療で寛解にできなかった場合には、骨髄移植が検討されることもあります。骨髄移植は、患者の体内の異常な骨髄を健康な骨髄で置き換える手術です。

小児の白血病の再発率は、一般的に適切な治療を受けた場合低下します。初めての治療がうまくいった場合の5年生存率は近年では90%を超えてきているとの報告も2017年に出されています。
この治療成績は大阪府の調査によるものですが、いずれにしても小児の白血病治療成績は近年飛躍的に向上しているといえるでしょう。

白血病再発に関しての研究情報

白血病再発に関しての研究情報
白血病再発に関して、多くの研究が行われており、新たな治療戦略や予防方法の開発が進められています。脂質代謝に着目した新しい治療の研究について紹介します。

白血病再発と脂質代謝の関係性についての研究

広島大学の放射線科研究所の仲 一仁准教授らの研究によると、慢性骨髄性白血病の原因となるCML幹細胞はリゾリンという脂質代謝に依存して自身を生存させているということを発見しました。 同研究所ではこのリゾリン脂質代謝を制限することで再発予防につなげる、新しい治療法の基礎として活用できることを動物実験を使って証明しています。

(参考:【研究成果】白血病の幹細胞の脂質代謝メカニズムを発見~再発を予防する新しいコンセプトの治療法の基礎となる~|広島大学ホームページ)

白血病の研究は、世界中でさまざまな研究者が調査を続けています。今では克服できる症例も多くなってきており、今後ますます注目され、実践できる治療法が増えてくることが予測できます。

まとめ

まとめ
白血病の再発は、がん細胞が完全に排除されずに残存したがん細胞が再び増殖、正常な血液細胞の生成を妨げることによって生じます。再発予防や早期発見は白血病治療の重要な課題です。
再発率は白血病の種類や治療方法によって異なります。また、移植治療を受けた後の再発には、移植前の状態、移植後の寛解状態、移植の種類などさまざまな要因が関与しているので「再発しない」とは一概には言えません。しかし、医学の進歩により、白血病の治療成績は大きく改善傾向にあります。

今では白血病は「不治の病」ではなく、治療可能な病気になったとも捉えられております。医学の進歩に連れて今後ますます、進歩が期待できるでしょう。

さらに、再発における治療成績の改善には、早期発見が重要です。ぜひ毎日の体調変化や違和感に耳を傾け、健康的な生活を意識しながら再発予防や早期発見に努めてください。それには、定期的なフォローアップと血液検査が役立ちます。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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