2021.12.28
がん直腸がんとは?特徴的な症状や、治療法の選択肢について解説!

直腸がんは、大腸がんの一つであり、肛門に近い「直腸」にがんができる病気です。大腸がんのなかでも排便異常や血便といった自覚症状は比較的出やすく、早期発見につながりやすいとされる一方で、見逃されることも少なくありません。
この記事では、直腸がんの特徴や初期症状、検査法、治療内容、予後についてわかりやすく解説します。40代以降の方や健康診断で異常を指摘された方は、ぜひ参考にしてみてください。
直腸がんとは
(参照:https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/rectal_cancer/)
直腸がんとは、大腸の一部である「直腸」に発生するがんのことを指します。大腸がんのなかでも、肛門に近い部分である直腸にできたがんを「直腸がん」と呼びます。
直腸は、便を一時的にためて排泄を調整する役割を持つ部位で、がんができると排便習慣に変化が現れやすいのも特徴です。
直腸がんは、遺伝的要因や生活習慣(高脂肪・低食物繊維の食事、運動不足、喫煙、飲酒)などが関係していると考えられています。また、ポリープから続発的に生じるケースも少なくありません。
早期発見につながる症状のポイント
直腸は大腸のなかでも一番肛門近くに存在します。そのため、ほかの大腸がんと比較すると自覚症状が現れやすいがんともいわれています。直腸がんを含む大腸がん全体は、初期には自覚症状がほぼないのは共通しています。直腸がんはほかの大腸がんと比較すると便の異常が現れやすいです。「いつもと違う」という違和感を放置せず、はやめの受診を検討することが大切です。
直腸がんの自覚症状として、比較的わかりやすいのが血便や下血です。直腸がんの代表的な自覚症状であり、普段は生じない症状でもあるため異変としてキャッチしやすいです。
また、便を直腸内にためにくくなるため、便が緩くなったり残便感が残ったりするのも特徴的な初期症状の一つです。
普段から便が硬く、肛門が切れることにより出血しやすかったり、痔の症状などがあれば症状を混同しやすいのは懸念材料ともいえるでしょう。血便や下血以外にも気になる変化や症状があることも注目したいポイントです。
直腸がんを含む大腸がんは「便潜血検査」という簡単な検査で異変の早期発見ができます。
症状が進行し、腫瘍部分が大きくなってくると、慢性的に出血が見られるようになります。ときとして貧血症状が起こることもあります。また便の形が細くなったり残便感が強くなったりとさまざまな症状を呈します。
直腸がんの症状についてはこちらの記事も参考にしてください。
>>直腸がんの症状とは?見逃されやすい初期のサインと進行時の特徴をわかりやすく解説
直腸がんの検査・診断
直腸がんはいくつかの検査を経て診断を確定します。異変を感じる前から実施可能な検査もあります。詳細について解説します。
便潜血検査
健康診断などでよくおこなわれる便潜血検査は、便に血液が混じっていないか調べる方法で、検診などでも広く用いられています。目に見えない出血もキャッチして診断できるのが特徴です。便潜血検査は連続した2日間の便を調べる2日法が現在の主流で通院などでも検査を受けることができます。
触診(指診)
直腸がんの場合、肛門から直腸に向けて直接指を挿入し異変を確認する直腸指診も用いられます。直腸がんは肛門から指を挿入した際に触れる範囲にできることがあるため、約70%の直腸がんが発見可能との数字も出ています。その場ですぐに診察できて判断がしやすい検査法の一つです。
内視鏡検査
便潜血検査で陽性になった場合におこなわれる次の検査です。肛門から内視鏡を挿入して、盲腸までカメラを進めて大腸を含む全体の様子を観察します。悪性腫瘍はもちろんのこと良性のポリープなどの発見も可能です。粘膜表面に色素をかける方法をあわせておこなえば、がんの浸潤度の判別も可能です。疑わしい腫瘍を発見した場合、内視鏡で病変の全体か一部を採取し病理検査に回します。
病理検査
内視鏡検査などで採取した病変組織を直接顕微鏡で観察します。この検査でがんかどうかの確定診断をつけます。あわせてがんが取り切れているか、がんの深さはどうなのか、がんの浸潤度や転移種類なども含めて総合的に判断します。病理検査の結果をもとに術後の治療の有無や今後の治療方針などの参照とします。
メインとなる画像診断「CT検査」
大腸がんを含む直腸がんの場合、画像検査としてCT検査をおこないます。がんの広がり具合やリンパ節の転移の有無を調べるために用います。
補助として用いられる「MRI、PET-CT」
基本的にはCT検査で全身のがんの状況を判断しますが、必要に応じてMRI検査やペットCT検査を用いることもあります。
直腸がんの分類
直腸がんのステージ(病期)分類は、がんの進行度を評価し、治療方針を決めるために重要な指標です。主に「TNM分類」に基づいて、ステージ0からステージⅣまでに分類されます。
- ステージ0:がんが粘膜内にとどまっている最も初期の状態
- ステージⅠ:がんが粘膜下層や筋層に浸潤しているがリンパ節転移はない状態
- ステージⅡ:腸の外側まで達しているがリンパ節転移はない状態
- ステージⅢ:リンパ節への転移が認められる状態(深さは関係ない)
- ステージⅣ:遠隔転移(肝臓や肺など)がある状態
直腸がんの治療法
直腸がんの治療には、主に「手術・薬物療法・放射線療法」が用いられます。
手術
直腸がんの治療法の一つに手術の方法があります。直腸がんの手術はがんの部位や病気により次の3つの方法から選択されるのが一般的です。
①肛門機能温存術
(参照:https://ggs-showa.com/forpatients/treatment/tr-colon/co-treat.php)
直腸がんの手術治療でおこなわれている主体的な方法の一つです。がんが肛門から3~4㎝以上離れている場合に選択可能な手術方法です。
②局所切除術
(参照:https://ggs-showa.com/forpatients/treatment/tr-colon/co-treat.php)
肛門を残してがんの周辺だけを切除する方法です。ステージ0の場合に選択されます。肛門側から手術する局所切除とお尻側から手術する経仙骨的局所切除術などがあります。
③直腸切断術(マイルズ手術)
(参照:https://ggs-showa.com/forpatients/treatment/tr-colon/co-treat.php)
がんが肛門近くにある場合におこなわれる方法です。直腸と肛門を切除し、すべて取り除き人工肛門から排便できるように手術をおこないます。
直腸近くには排尿や排便、性機能に関係する自律神経、肛門の締まりに関わる肛門括約筋などがあるため、手術で神経や筋肉の動きに影響を及ぼすことがあります。その結果、後遺症が出ることもあるため十分に理解して手術を受けることが大切です。
手術により肛門機能が失われれば人工肛門(ストーマ)を造設する
直腸がんが肛門に近い位置にできている場合、腫瘍を完全に取り除くために肛門を含む直腸の一部または全部を切除することがあります。
その結果、肛門の機能が失われ、自力で排便することが難しくなったり、便を直腸内にためることが難しくなることがあります。肛門機能に支障をきたす場合には、人工肛門(ストーマ)を腹部に造設し、排泄物を専用のパウチに集め排泄する生活へと切り替える手術もあわせておこないます。
ストーマは一時的な場合と永久的な場合があり、手術前の検査や医師との相談によって決定されます。患者さんにとっては大きな変化ですが、近年では医療や看護体制が整い、ストーマを持っていても日常生活を快適に送ることができるよう支援体制が整っています。
術前にストーマ造設の有無が決定するため、あらかじめ支援や援助を受けられる場所への相談を検討しましょう。病院に併設している「相談センター」などが仲介役を担っていることもあります。
薬物療法
直腸がんにおける薬物療法は、基本的に大腸がんと同じ方法でおこなわれています。直腸がんを含む大腸がんの薬物療法の主要となるのは、抗がん剤などの薬を用いる化学療法です。
化学療法
がんの増殖を抑えたり成長を遅らせたりする治療です。がんのある部位に直接アタックする手術は、腫瘍に対して直接治療を施す局所療法であるのに対して、化学療法は全身をターゲットとした治療です。
転移以外の全身のがんに効果が期待できます。手術などで腫瘍をすべて切除できるときは化学療法がおこわれることはあまりありません。直腸がんで化学療法がおこなわれるのは主に次の場合です。
①術後補助化学療法
進行がんの手術後にがんの再発予防のために取り入れるケースです。手術によってすべてのがんを切除できたと思っても、実際には目に見えない微小ながんが残っている場合があります。残されていたがん細胞が時間とともに少しずつ大きくなることがあるため、抗がん剤を使用して手術で取り残したかもしれない微小ながんを完全に叩きます。再発予防を目的としているのが術後補助化学療法です。
②手術での病巣切除が難しい場合の化学療法
手術でがんを取りきれない場合や、再発で再手術が難しいときには化学療法が治療の中心となります。化学療法だけで大腸がんを治すのは難しいのですが、症状を予防・軽減したり生存期間の延長をする目的でおこなわれる場合があります。
分子標的薬
直腸がんの薬物療法には、抗がん剤治療に加えて、分子標的薬や免疫療法が取り入れられることがあります。これらは進行がんや転移がある場合、または再発予防の補助療法として使われます。
分子標的薬は、がん細胞の特定のたんぱく質や遺伝子異常に狙いを定めて作用する薬剤です。直腸がんでは、RAS遺伝子の変異がない場合に「抗EGFR抗体薬(セツキシマブ・パニツムマブ)」が使用されます。また、VEGF(血管内皮増殖因子)を標的とした「ベバシズマブ」は、がんの血管新生を阻害し、がんの成長を抑える効果があります。
免疫療法
免疫療法は、がん細胞を攻撃する免疫の働きを高める治療法です。直腸がんのなかでも、MSI-High(マイクロサテライト不安定性高)という遺伝子特徴を持つ患者に対しては、免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブなど)が有効とされています。通常の抗がん剤が効きにくいケースでも、免疫療法が効果を発揮することもあります。
放射線療法
放射線療法は高エネルギーのX線やガンマ線電子線などの放射線を体外から照射してがん細胞に直接ダメージを与え、がんを死滅させたりがんの成長を抑制したりする目的でおこなわれる治療法です。直腸がんの場合手術の補助療法として用いられます。
例として、手術前にがんを小さくして手術時に直腸の剥離面ががんになるのを回避したり、手術後の骨盤内での再発を防いだりする目的でおこなわれます。
直腸がんの予後・生存率
直腸がんの予後や生存率は、がんの進行度(ステージ)によって大きく異なります。ステージ0〜1の早期がんでは、がんが直腸の内側にとどまっているため、5年生存率は90%以上と非常に高く、多くの場合で治癒が期待できます。ステージ2になると、がんは筋層やその周囲に浸潤しますが、リンパ節転移はなく、5年生存率は70〜80%程度と依然として比較的良好です。ステージ3ではリンパ節への転移が見られ、5年生存率は50〜60%に低下します。さらにステージ4に進行すると、肝臓や肺など遠隔臓器への転移が認められ、5年生存率は約20%と大きく下がります。
これらの数字はあくまで目安であり、治療法や個々の体力、遺伝子の特徴などによって変動します。いずれにしても早期発見が予後を大きく左右する要素となるでしょう。
まとめ
直腸がんは、比較的早期に症状が現れることもありますが、初期段階では見過ごされやすいことも少なくありません。便潜血検査や内視鏡検査などを定期的に受けることで、がんを早期に発見し、治療につなげることが可能です。
進行度によって治療法や予後は大きく異なりますが、はやい段階であれば治癒が期待できる病気です。違和感を感じたときや検診の機会を見逃さず、自分の健康を守る一歩を踏み出しましょう。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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