2025.02.27
がん中咽頭がんとは?原因・症状・治療・予後・予防まで徹底解説
中咽頭がんは、喉の奥に位置する「中咽頭」という部位に発生するがんの一種です。がん全体で見ると比較的まれながんで、喫煙・飲酒・ヒトパピローマウイルス(HPV)感染など、生活習慣やウイルス感染が発症に関与しています。
HPV陽性の中咽頭がんは若年層での発症も増えており、ワクチン接種を含めた予防の需要も高まっています。この記事では、中咽頭の位置や役割から始まり、中咽頭がんの原因・症状・診断・ステージ・治療法・予後・予防策に至るまで、幅広くわかりやすく解説します。
目次
中咽頭とは

(参照:HPV関連中咽頭がん-意外と知らない|耳鼻咽喉科・頭頸部外科、https://www.jibika.or.jp/owned/contents7.html)
中咽頭とは、喉を構成する部位の呼称の一つです。私たちが「喉」と呼んでいる場所は、鼻の奥から気管と食道の入り口までを指しています。喉は大きく分けて、「咽頭」と「喉頭」に分けられています。
さらにそのなかでも、「咽頭」と呼ばれる部分は、鼻腔と口から食道と気管をつなぐ部分です。中咽頭とは口の奥側の口蓋・扁桃と下の根元(舌根)あたりを指しています。中咽頭は口を大きく開けたときおおむね見える部分です。
中咽頭がんとは
喉のがんは、全身に生じるがんのなかでは患者数は比較的少ないです。喉のがんにはそれぞれ「咽頭がん」と「喉頭がん」があります。喉の中でも口側にある咽頭のうち、「中咽頭」に生じるがんを「中咽頭がん」と呼んでいます。
咽頭がんは中咽頭がんのほかに「上・下」の咽頭がんもあります。
中咽頭がんの原因・リスク要因
中咽頭がんは、日常的な生活習慣やウイルス感染など、複数の要因が関係して発症します。なかでもヒトパピローマウイルス(HPV)感染は、近年注目されている大きなリスク因子の一つです。
また、喫煙や過度の飲酒といった習慣的な刺激も、中咽頭の粘膜に慢性的なダメージを与えるので、がん化の引き金となることがわかっています。ここでは、中咽頭がんの主なリスク要因について詳しく解説します。
ヒトパピローマウイルス(HPV)
中咽頭がんの発生要因の一つに、ヒトパピローマウイルスの感染が影響していることもあります。ヒトパピローマウイルスは、中咽頭がんのほかにも子宮頸がんや尖圭コンジローマなどの要因になりうるウイルスです。中咽頭がんのなかで、HPV感染が原因の患者さんは約半数だといわれています。
喫煙・飲酒
ウイルス感染以外に中咽頭がんの発生に大きく関わっていると考えられているのが「喫煙」と「大量の飲酒」です。喫煙や習慣的な大量飲酒は、喉の細胞に慢性的な炎症を起こしやすいため、細胞の変異につながると考えられています。
喫煙は、喫煙歴が長い方や1日に10本以上吸う方は高いリスク因子の一つとされています。お酒に関しても純アルコール量で1日平均60gを超える場合、(例:ビール中瓶3本、日本酒3号弱、焼酎約200mlなど)中咽頭がんのリスクとなりえます。
強いお酒が好きだったり、たくさん飲む習慣があると喉の細胞に対して刺激になります。結果として炎症が長く続いてしまうと、発がん要因につながります。
その他の生活習慣・環境因子
虫歯や入れ歯の刺激などによる口腔内環境の悪化により、口腔内や中咽頭部分の炎症が続くと発がんの要因 になることもあります。
中咽頭がんの症状と早期発見

中咽頭がんは、初期のうちは自覚症状が乏しく、症状が出ていたとしても風邪と見分けがつきにくいです。喉の軽い痛みや違和感が長く続いても見過ごされやすく、早期発見が遅れがちです。ここでは、初期にみられるサインから進行にともなう症状まで詳しく解説します。
>>咽頭がんの初期の症状は?発生部位別治療法と余命、再発防止について解説
中咽頭がんの初期症状
中咽頭をはじめとした喉のがんでは、早い段階ではっきりとわかる症状が現れることは比較的少ないです。まれに何らかの自覚症状を感じる人もいますが、早い段階で感じる自覚症状としては、なんとなく喉が痛いなど風邪によく似た症状が続いていることがあるようです。
がんの場合、風邪と違って1ヵ月以上症状が続く こともあります。風邪かな?と思っていた症状が1ヵ月以上続く場合には、専門医への受診を検討しましょう。
食事の際になんとなく感じる違和感が、初期症状であることもあります。食事のときにいつもと同じ部位に痛みや違和感が生じたり、飲み込みにくさを自覚する場合もあります。また、中咽頭がんで、左右どちらかの扁桃腺が腫れることもあります。
中咽頭がんの進行症状
中咽頭がん進行してくると悪性腫瘍の大きさが増大し、食べ物を飲み込む際に喉を塞ぐような状態になってしまいます。食べ物や空気の通り道が狭くなるため、嚥下障害や呼吸困難感などが生じることもあります。食道の内腔が狭まるだけでなく、首のリンパ節が腫れたり炎症を起こしたりすることも。飲み込みにくさなどに関する症状がないまま進行し、首のしこりなどによって病状に気がつく患者さんもいます。
中咽頭がんの検査・診断
中咽頭がんは、自治体の定期的ながん検診には含まれていないことがほとんどです。口や喉に気になる症状が生じている、違和感が長く続くなどの場合には、早期発見のためにも早めに受診を検討しましょう。風邪っぽい症状が生じている場合は、内科に受診する方もいるかもしれませんが、中咽頭がんの場合は耳鼻咽喉科への受診が適切です。
①問診・視診・触診
何らかの症状が生じて長く続いていた場合、医師から問診や視診など一般的な診察をします。問診では、いつからどのような症状が続いているかを確認します。喫煙歴や飲酒歴なども判断材料の参考になるので、今までの経験を伝えましょう。耳鼻咽喉科に受診する前に、歯科や別の診療科で治療や診察を受けた場合は鑑別の一助とすることもあるので、他科の受診歴も伝えましょう。
そのあと、触診や視診で口の中や喉の様子を見たり、首のリンパ節に触ったりして状態を確認します。
②内視鏡検査
自宅近くのクリニックなどに受診した場合は、鼻に麻酔スプレーをして細い管を使った内視鏡検査をすることもあります。疑わしい場所を直接カメラで観察し、病変がある場合は取れるようなら採取して、そのまま病理検査に提出します。(内視鏡の先端から小さな鉗子を使って、疑わしい病変部分を切り取ります。)
③病理検査
内視鏡をして疑わしい場所があった場合、基本的には初診でも病理検査まで進みます。
検査に提出された組織は顕微鏡で直接確認して、組織ががん細胞かどうかをチェックします。がん細胞が確認されれば、中咽頭がんという診断が確定します。採取した組織を提出してから、おおよそ1週間〜10日程度で結果がわかります。
HPV検査
中咽頭がんの約半数は、HPV感染が原因で起こると考えられています。中咽頭がんを疑う場合、合わせてHPV感染の有無を確認するウイルス検査もおこなうのが一般的です。HPV関連の中咽頭がんの患者さんの85〜90% に、16型のHPVウイルスが検出されます。
画像検査(CT・MRI・PET)
医師がおこなう問診や触診だけでは、がんの全体像を把握することはできません。CTやMRIなどの画像検査を用いて、がんの大きさや進行度、転移の有無を調べます。がんの広がり方やリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無もわかります。PET-CTと呼ばれる検査は、全身をいっぺんに撮影することができ、リンパ節転移や遠隔転移を発見するのにも有効です。
中咽頭がんのステージ(病期)分類

(参照:咽頭がん -気づかれにくい、のどのがん- -症状がなくても要注意!- | 定永耳鼻咽喉科、https://www.sadanaga.jp/topics/50937/)
中咽頭がんにおける病気のステージを決める場合には、TNM分類を活用して決定します。がんの広がり方(腫瘍の大きさ)は主にT分類で表されます。N分類ではリンパ節への転移の有無により分類します。遠隔転移があれば、M分類はすべて1であるとみなします。
HPV関連がんのステージ分類

(参照:咽頭がん -気づかれにくい、のどのがん- -症状がなくても要注意!- | 定永耳鼻咽喉科、https://www.sadanaga.jp/topics/50937/)
中咽頭がんのステージ分類は、HPV感染の有無によっても異なります。中咽頭がんは、ウイルス検査でヒトパピローマウイルスの陽性と確認できた場合には、「P16陽性」咽頭がんと分類され、陰性の場合に比べて経過がよいことがわかっています。同じ中咽頭がんではあるのですが、経過がよいためN分類が陰性の場合よりも低めに設定されています。
>>咽頭がんステージ2・3の症状は?がん発症部位別の治療の進め方、生存率について解説
中咽頭 がんの治療
中咽頭がんは、病気のステージやがんの広がり具合により、用いられる治療法が異なります。基本的には初期であれば内視鏡により取り除くのですが、進行してくるとともに、手術や化学放射線療法が用いられるようになります。
放射線治療
中咽頭がんでは、放射線療法は非常に有効な治療法の一つです。放射線療法であれば声が自然な状態で残るため、患者さんの予後と治療効果も考えて放射線治療がよいと判断された場合、主となる治療法として選択されることも少なくありません。
放射線療法の基本的な治療の流れとしては、6〜7週間の間に週5回、1回10分程度を照射します。
化学放射線療法
喉のがんでは、化学療法が単独でおこなわれることは比較的少なめです。化学療法は基本的に補助的な役割として活用されています。中咽頭がんでは、T2以上とがんが大きな場合、リンパ節転移をともなう場合の2期以降は、放射線療法だけでは不十分と考えられています。
2期以降では、放射線療法と抗がん剤を組み合わせた化学放射線療法として、同時に治療を進めるのが基本です。放射線療法は週5回、6〜7週間おこない、加えて主にシスプラチンを用いて3週間に1回点滴投薬する治療を用いるケースが一般的です。
患者さんの状態や副作用の状況によっては、シスプラチンのほかにドセタキセルやフルオロウラシルという薬剤を用いることもあります。
手術治療
いままで中咽頭がんは、可能な限り放射線療法で治療を進めるのが基本とされてきました。できるだけ放射線療法で進めたい理由としては、手術だと発声や嚥下など生活の質に悪影響を及ぼす症状が残ってしまうリスクがあるためです。
しかし近年、国立がん研究センター東病院の研究により、早期中咽頭がんであれば、手術のほうが放射線療法よりも長期生存率が高いという報告がありました。 今までと違い、中咽頭がんにおける手術の在り方も変化してきています。ここでは、中咽頭がんの手術方法について解説します。
部分切除

(参照:下咽頭がん | KOMPAS 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト、https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000985/)
ステージ1〜2期であれば、機能障害や機能低下が起こらない部分切除で済む場合もあります。部分切除は口から器具を入れて手術するので、見た目には傷が残らないのも大きなメリットです。
広域切除
ステージ3〜4期の場合、腫瘍部分もT3〜T4と大きくなるため切除範囲が広くなります。手術したあとに声の出方や嚥下に関する機能障害などが強く残ることもあり、誤嚥が起こったり鼻に水分や食事が逆流する障害も起こりやすくなります。
再建術
広域切除で中咽頭だけではなく周辺組織も切除すると、下唇や下顎の1部を切断することもあります。切除した部分を補うためお腹や太ももから組織を採取し、切除や切断した部位に移植して組織を再建する手術もおこなわれます。
中咽頭がんの予後・5年生存率

(参照:がん情報サービス前立腺がん2015年5年生存率、https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph#h-title)
中咽頭がんの5年生存率を調査した際に、広く統計で出しているデータを確認すると「咽頭がん」としての総括してみたデータがありました。他の咽頭がんも含めた数字のため「中咽頭がん」のみの5年生存率は、施設独自の調査結果を参照値としてみてみましょう。
| ステージ | 横須賀共済病院(2009年) | がん研有明病院(全生存率) |
|---|---|---|
| Ⅰ期 | 約80〜90% | 83% |
| Ⅱ期 | 約80〜90% | 79% |
| Ⅲ期 | 約60% | 73% |
| Ⅳ期 | 約40%弱 | 69% |
(横須賀共済病院、https://ykh.kkr.or.jp/patients/about/toukeibugan/toukeibu04.html・
がん研有明病院、https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/headneck/pharynx.htmlのデータをもとに作成)
今回は「横須賀共済病院」と「がん研有明病院」のデータを参考にしてみてみましょう。共通してI・Ⅱ期では予後が良好 で、治療が適切におこなわれれば高い生存率が期待できます。一方で、Ⅲ期以降で若干生存率が低下し、Ⅳ期では施設間の治療成績に差がみられます。中咽頭がんの予後を考えると、できるだけ早いうちに発見し治療をすることが余命や予後につながる重要な要素といえそうです。
中咽頭がんの予防
中咽頭がんの発症には、生活習慣やウイルス感染といった複数の要因との因果関係があるとされています。なかでも、HPV感染と喫煙・飲酒は大きな発症リスクなので、意識的な対策によって中咽頭がんの発症リスク低減につなげることが期待できます。
HPVワクチン
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、中咽頭がんの主な原因の一つです。性的接触によって感染するタイプ16型は、近年若年者の発症に関わるとされてきました。HPVワクチンは、子宮頸がん予防として知られていますが、中咽頭がんの予防にも効果が期待されています。日本では小6〜高校1年生の女子は公費負担で予防接種できますが、近年では該当年齢以外の女性や男性も任意接種できるようになりました。
禁煙・節酒
喫煙や大量飲酒の習慣は、中咽頭の粘膜に長期間にわたる炎症や刺激を与え、がん化のリスクを高めます。中咽頭がん予防を考えると、禁煙・節酒は有効な予防法といえるでしょう。
まとめ
中咽頭がんは、早期には自覚症状が乏しく、あっても風邪と似た症状で見過ごされがちな疾患です。しかし、進行すれば命に関わる重大ながんであり、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。なかでもHPV陽性の中咽頭がんは、予後が比較的良好である一方、HPV陰性の場合は進行が早く予後が悪い傾向にあるため、早めの診断が重要といえるでしょう。禁煙・節酒などの生活習慣の見直しに加え、HPVワクチン接種などの予防策も積極的に取り入れ、リスクを減らすことで中咽頭がん対策の一助につなげたいですね。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
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>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
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がんの種類を知る
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