2021.12.28
がん白血病の治療法とは?:効果的な治療法とアプローチについて徹底解説
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白血病治療は、患者さんの病状や白血病の種類、進行度によって大きく異なります。従来の抗がん剤治療や造血幹細胞移植に加え、近年では分子標的薬や臍帯血移植といった新たな治療法も取り入れられてきました。
これらの治療法は、白血病による症状を抑え込みながら患者の生活の質を最大限に保つことを目指しています。この記事では、白血病治療の基本的な流れから、一般的な治療法までを詳しく解説しています。
>>【簡単理解】白血病とは?原因や症状、診断に伴う検査や最新の治療法を解説
白血病の治療とは?
白血病の治療はそのタイプや進行度、患者の年齢や体力などに応じて異なります。厳密にいうと白血病のタイプにより異なる治療法を用いますが、一般的には白血病の治療法には化学療法や分子標的薬を使った薬物療法のほかに移植治療や放射線療法などが用いられます。
いずれにしても治療の目的は、がん細胞の抑制や排除、正常な血液細胞の回復、患者の生活の質の向上を視野に入れて実施することです。
ここでは、白血病の種類に関係なく一般的な概論として白血病の治療法について解説していきます。
白血病の検査
白血病の治療を進めるためには、白血病自体の診断や進行度の評価をしなければなりません。白血病の診断のためにおこなわれる代表的な検査には、血液検査のほかにも下記のような検査があります。
骨髄穿刺検査
骨髄穿刺検査は、白血病の診断や治療計画を立てる際に不可欠な検査です。この検査では、骨髄液を専用の針で採取し、異常な細胞の有無や割合を詳しく調べます。
採取した骨髄液を顕微鏡で観察したり、特殊な染色をおこなって異常細胞の有無を確認します。
細胞性免疫検査(フローサイトメトリー)
細胞性免疫染色検査(フローサイトメトリー)では、患者さんより採取した骨髄や血液細胞の表面にある特定の分子を調べます。この検査により、白血病細胞の種類をより詳細に分類することが可能です。
FISH検査・染色体検査
FISH検査(蛍光 in situ ハイブリダイゼーション)や染色体検査は、細胞の遺伝子や染色体の異常を特定するための検査です。この検査により、染色体異常(例: フィラデルフィア染色体)の有無が確認でき、白血病のタイプの診断だけでなく治療法や予後の予測にもつながります。
白血病治療の3ステップ
白血病治療は、患者の病状や白血病の種類に応じて、段階的におこなわれます。基本的には「寛解導入療法」「地固め療法」「維持療法」の3つのステップにわけて実施します。
寛解導入療法
白血病の治療におけるファーストステップは寛解導入療法です。一般的にこの時期の治療法は、強力な化学療法を用いて血液や骨髄中に存在する白血病細胞を可能な限り減少させることを目指します。
白血病細胞の根絶を目指しますが、正常な白血球や赤血球血小板も著しく低下するのが一般的です。この間は輸血で体の機能をサポートしたり、感染症対策を取り入れることが重要となります。
骨髄性かリンパ性かにもよりますが、寛解導入療法は一般的には1週間から4週間ほどかけて治療をおこないます。治療効果が十分に得られた場合、血液検査・骨髄検査で白血病細胞が消えて正常な血液細胞が増えてきます。
この状態を「完全寛解」と呼んでいて、うまくいけば治療開始後3週間から4週間ほどを目途に治療に対する反応が得られます。完全寛解の状態になることは、治癒とは異なりますが、治療をするための第一歩となり得ます。
しかし、この段階ではまだ体内に目に見えない微小な白血病細胞が残っている可能性があるため、さらなる治療が必要です。
地固め療法
完全寛解の状態になっても、体のなかには生き残っている白血病細胞が体内に潜んでいる可能性もあります。つまり、このまま放置しておくと再発する可能性が非常に高くなるということです。
そこで、各種検査でとらえきれない生き残っている白血病細胞を取り除くために、再び強力な化学療法をおこないます。これを「寛解後療法・地固め療法」と呼んでいます。地固め療法においても治療開始後3から4週間ほどで正常な血液細胞が回復してくる様子が見受けられます。
この段階では寛解導入療法で使用しなかった薬を用いて治療を進めるのが一般的です。通常、地固め療法は3〜4回繰り返します。地固め療法を何度か繰り返し、再発の兆候がないことが各種検査で確認できれば、定期検査による経過観察へと移っていきます。
維持療法
維持療法は、地固め療法を終えたあとにおこなわれる治療で、再発を防ぎ、長期的な寛解状態を維持することを目的としておこないます。この段階では、患者の日常生活を可能な限り保ちながら、体内に残る可能性のある微小な白血病細胞を叩いていくのが治療の目的です。
実際には、薬物療法を定期的におこなうことで白血病細胞の増殖を防ぎますが、患者さんの病状に合わせて服薬量やスケジュールは調整されます。
さらに、支持療法として免疫力を高める治療や感染症予防も並行しておこなわれ、再発リスクを最小限に抑える対処法がなされます。
維持療法を適切に進めることで、患者さんは治療を受けながらも日常生活を続けることが可能となるでしょう。
白血病の治療法
白血病に有効な治療法についてご紹介いたします。
抗がん剤治療
抗がん剤治療は、白血病細胞の増殖を抑えたり排除したりする代表的な治療法の一つです。特に急性白血病の治療において、体内の白血病細胞を根絶して正常な血液細胞を回復させることを目的とします。
一般的に白血病の治療法では、抗がん剤を複数組み合わせる「多剤併用療法」を用います。治療は、まず寛解導入療法をおこない、そのあと地固め療法、維持療法へと進んでいくのが一般的です。詳しくは後述する白血病の治療の3ステップも参照してください。
抗がん剤治療による副作用
抗がん剤治療は高い効果を発揮しますが、白血病細胞ではない正常細胞にも影響を及ぼすため、副作用が生じることも少なくありません。
抗がん剤の副作用は、薬による一時的なものも多いですが、患者の生活の質に悪影響を与える恐れもあります。気になる症状が生じたら早くから適切な対処を取り入れ、生活の質をできるだけ低下させないような介入が重要です。
【抗がん剤の主な副作用】
骨髄抑制:白血球、赤血球、血小板が減少し、感染症、貧血、出血のリスクが増加します。
消化器症状:吐き気、嘔吐、下痢、口内炎など。
脱毛:毛根細胞がダメージを受け、一時的に脱毛が生じます。
疲労感と倦怠感:体力の低下や慢性的な疲労感
分子標的薬による治療
分子標的薬は、白血病細胞の特定の遺伝子やタンパク質をターゲットにして、がん細胞悪影響の抑制を狙った薬剤です。従来の化学療法が正常細胞にも影響を及ぼす可能性が高かったのに対し、分子標的薬は特定の異常を持つ細胞にのみ働きかけるため、より効率的で副作用の少ない治療法として注目されています。
特に分子標的薬は、特に慢性骨髄性白血病(CML)や急性リンパ性白血病(ALL)の一部で大きな成果をあげています。
分子標的薬による副作用
分子標的薬は通常の化学療法に比べて副作用が少ないと言われていますが、それでも以下のような副作用が見られることもあります。
【分子標的薬の主な副作用】
皮膚症状:皮膚が赤くなったり、かゆみをともなう発疹が現れることがあります。
肝機能障害:肝酵素値の上昇が報告される例もあります。
吐き気・嘔吐・下痢:治療中に吐き気や嘔吐が続く場合があります。一部の薬では、服用後すぐに激しい下痢が生じる場合があります。
浮腫:体内に水分が溜まりやすくなり、むくみや急激な体重増加が起こる場合があります。
骨髄移植による治療
(参照:https://www.fukui-saiseikai.com/about/magazine/entry-5220.html)
造血幹細胞移植(骨髄移植)は、白血病治療のなかでも根治を目指すための治療法の一つです。骨髄移植は、化学療法や放射線治療によって患者の骨髄中の白血病細胞をほぼ完全に破壊したあと、新しい造血幹細胞を移植、健康な血液細胞を再生させることを目的としておこないます。以下に、主な移植方法を詳しく解説します。
造血幹細胞移植(同種造血幹細胞移植)
同種造血幹細胞移植は、ドナー(提供者)から採取した健康な造血幹細胞を患者に移植する治療法です。健康な造血幹細胞を移植して患者さんの骨髄機能を回復させることで、正常な血液細胞の生成を目指します。根治的な治療が目指せる一方で移植片対宿主病(GVHD)や感染症などの重大な合併症が発生するリスクもあります。そのため、患者の年齢、体力、病状、移植のメリットとデメリットを考慮して慎重に検討されます。
造血幹細胞移植適応となる場合
抗がん剤治療などの化学療法で寛解に至らない場合。
再発後に化学療法で寛解を得たが、再度の再発リスクが高いと判断された場合。
薬物治療だけでは症状の根治が難しい場合。
HLA(白血球の型)が一致するドナーが見つかった場合。
骨髄非破壊的移植(ミニ移植)
ミニ移植は、高齢者や体力の低下した患者さんにも対応可能な、新しい骨髄移植における治療法です。大量の抗がん剤や全身放射線治療を使用せず、免疫抑制剤を中心に治療をおこなうため、低侵襲で患者への負担を軽減できる特徴があります。
免疫抑制剤を用いながら、患者の造血幹細胞を徐々にドナーの細胞に置き換えるため、感染症のリスクなどは軽減できますが、従来の移植に比べ再発率が高いとされるため、患者の状況に応じた慎重な選択が重要です。
ミニ移植適応となる場合
60代以上のご⾼齢の患者さんなど、従来の移植ではリスクが⾼い場合。
合併症や持病等により、⾝体的な負担の⾼い抗がん剤や放射線での治療が困難な場合。
臍帯血(さいたいけつ)移植
臍帯血移植は、出産時に母親と赤ちゃんをつないでいたへその緒から採取した血液を利用する移植法です。臍帯血には豊富な造血幹細胞が含まれているため、移植治療に用いられます。ドナーとしての提供者の負担がないことから、近年注目を集めている治療法です。しかし、臍帯血に含まれる造血幹細胞の数が少ないため、移植後の回復に時間がかかる場合があります。免疫回復が遅れるため、感染症のリスクが増加するおそれがあります。
臍帯血移植適応となる場合
HLA型が一致する人が見つからず、ドナー探しが難しい場合。
迅速な血液移植が必要になった場合。
放射線治療
白血病に関わらず、一般的ながん治療において薬物療法や手術療法とともに並ぶ三大治療の一つが放射線による治療です。
白血病治療では薬物療法と併用される場合があります。 放射線は体の細胞内にあるDNAに損傷を与え、がん細胞のDNAを破壊することでがん細胞を消滅させたり働きを抑えたりする目的でおこなわれます。
白血病治療においては、体の外から放射線を当てる外部照射法が一般的です。放射線治療の大きなメリットは、治療による痛みを感じないことです。しかしながら、がん細胞以外の正常な細胞にも放射線が当たってしまうことで正常の細胞もダメージを受けてしまうことがデメリットといえるでしょう。
そのため放射線の治療を始めるにあたり、体の状態を調べたうえで必要最低限の量を期間を定めて照射する治療プランを組み立てておこないます。
まとめ
白血病の治療は多様な選択肢と進化し続ける技術によって、より高い治療効果が期待できる時代に突入しています。
それぞれの治療法には特徴があり、患者さんの状態や希望に応じて最適なアプローチが選ばれています。また、適切な治療とともに、患者の生活の質を考慮したケアが非常に重要です。
本記事が、白血病治療への理解を深める一助となれば幸いです。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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