2024.08.28
がん大腸がんによる体重減少とは?原因・メカニズム・見逃しやすいサインを解説

大腸がんは、日本でも罹患率・死亡率が高いがんの一つです。なかでも「体重減少」は進行がんの重要なサインの一つとして知られていますが、年齢や食事の変化などと混同して見逃されがちです。
この記事では、大腸がんによる体重減少がなぜ起こるのか、どのようなメカニズムで進行するのかをわかりやすく解説。合わせて、体重減少以外の注意すべき症状などについても紹介します。
※大腸がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>大腸がんとは?その症状と治療法について
目次
大腸がんとは
大腸がんは、大腸(結腸と直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本ではがんによる死亡原因の上位を占めていて、高齢化や近年の食生活の変化にともない増加傾向にあります。
早期発見できれば内視鏡治療などで根治が期待できる一方、進行すると手術や抗がん剤など治療が複雑になるため、日頃から意識して定期検診などを受け、早期発見につなげるのが重要です。
大腸がんの基礎知識
大腸がんは、腸管の内側を覆う粘膜から発生します。最初はポリープ(腺腫性ポリープ)と呼ばれる良性の隆起性病変として発生し、時間をかけて一部ががん化します。
そのなかでも腺腫性ポリープのうち、1cmを超えるものはがん化するリスクが高いといわれていて、早い段階で内視鏡で切除するのが一般的です。
どの部位にできるのか
大腸は、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸に大別されます。
日本では特にS状結腸と直腸に多い傾向です。これは、大腸の終わりに近づくほど便のなかに含まれる毒素との接触時間が長いためといわれています。
大腸がんは初期症状が現れにくいですが、S状結腸と直腸は肛門に近いため比較的異変に気が付きやすいといわれています。
一方で右側のがんは、S状結腸と直腸よりはがんが発生しにくいですが、腸の内容物が液状で通過障害を起こしにくいため、進行してから見つかることが多いのも特徴です。
罹患率や年齢分布
大腸がんは日本で男女ともに罹患率が高いがんの一つです。
統計的には、発症のピークは60代から70代にかけて見られますが、40代以降から発症リスクは急激に上がります。食生活の欧米化や運動不足、肥満、飲酒、喫煙などがリスク要因とされ、また家族性大腸腺腫症(FAP)や遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)などの遺伝性要因も存在します。
日本では高齢化社会が進んでいるので、今後も患者数の増加が懸念されています。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>大腸がんの初期症状とは?早期発見のために気にするべきことについて解説!
大腸がんで体重減少が起こる理由
大腸がんは初期症状が出にくい一方で、進行すると体重減少が目立つ症例も出てきます。
がんが大きくなると腸管を塞ぎ、便の通過を妨げて食事が摂りにくくなるほか、がん細胞自体が放出する炎症性サイトカインなどの物質によって食欲が低下したり、体内の代謝バランスが崩れるためです。
また、がんにともなう慢性的な炎症状態は、筋肉量を減らす「がん悪液質(がんあくしえつえき)」を引き起こす原因にもなります。
大腸がんの場合、医師や個人差により、多少の見解の違いはありますが、ダイエットなどを意識的にしたわけではないのにも関わらず急激に体重が減ってきた場合には注意が必要です。
日頃から体重を定期的に測り、変化を把握しておきましょう。
がんによるエネルギー消費量の亢進
がんが進行してくると、炎症性サイトカインなどが全身に放出されることで、エネルギー消費が異常に亢進し、安静時でも多くのカロリーを使う状態が続きます。
また、大腸がんを含む多くの悪性腫瘍は、体内の代謝を通常より活発にします。がん細胞は成長するために大量のエネルギーを消費し、周囲の正常組織から栄養を奪うようにして増殖します。
つまり、がんによる体重減少の背景には、がん細胞が自ら血管新生を促して周囲から栄養を確保することにより、本来体に吸収されるべき栄養素が不足すると考えられるでしょう。
この血管新生を抑制し、がんの栄養供給を制御するアプローチの一つとして「フコイダン療法」が注目されています。フコイダンはがんの血管新生を抑制し、がんに対する栄養の補給路を断つことが期待できます。
さらにフコイダンは免疫調整作用なども期待され、統合医療の選択肢の一つとなっています。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>統合医療としてのフコイダン療法とは?
>>なぜ、フコイダンはがんに効くのか?
食欲低下や消化吸収の変化
大腸がんが進行すると、腸管を物理的に狭くしたり塞いだりします。
腫瘍が増大してくると、食事を取るとお腹が張ったり痛みが出たりするため、食事量が減ってしまう患者さんもいます。
がんによる炎症や腸の動きの変化で、消化や栄養素の吸収が悪化する場合もあり、体重減少につながる場合もあるのです。
がん悪質液とは
「がん悪液質(がんあくしえつえき)」は、進行がんにともなって見られる症状の一つです。単なる食事不足ではなく、がん細胞から放出される炎症性サイトカインの影響で食欲が抑えられたり、筋肉量が減少し、体重が減少します。
単純に食事を増やしても改善しにくいのが特徴で、治療の一環として栄養管理や運動療法、薬物療法などの多面的なアプローチが必要です。大腸がんでも進行期に見られることがあります。
病的な体重減少とは
体重減少は必ずしもすべてが病的ではありませんが、ときとして疾患が背景にある可能性があります。大腸がんでは、進行とともに「病的な体重減少」が現れやすいのが特徴です。
一般的には、以下のいずれかに該当する場合、病的な体重減少とみなされます。
- 過去6ヵ月間で体重の5%以上が減少
- BMIが20未満の場合は2%以上の体重減少
例えば、体重60kgの方であれば、6ヵ月で3kg以上減少した場合で、意図的なダイエットや運動による減量でないにも関わらず体重が減る場合は、なにかしらの疾患が潜んでいる場合もあります。
体重減少すると何が起こるのか
病的な体重減少が続くと、全身の機能や生活の質にさまざまな悪影響がおよびます。大腸がんの進行期に体重減少が目立つケースが多く、栄養状態の悪化は治療にも影響することがあります。
- 免疫力の低下
- 筋力低下と疲労感
- 治療への影響
- 精神的ストレス
栄養不足により、感染症への抵抗力が弱まり、肺炎や尿路感染などを起こしやすくなります。
筋肉量が減少し、倦怠感が生じやすくなり、体力低下、日常生活動作の制限が生じます。
抗がん剤治療や手術の体力が維持できず、治療の継続が困難になることもあります。
見た目の変化や体力の低下は、気分の落ち込みや不安の増加につながることもあります。
体重減少以外の見逃しやすいサイン
大腸がんは、体重減少以外にもさまざまな症状が現れます。ただ、日常生活のなかで「年齢のせい」「体質」「がん以外の軽症な疾患」と見過ごされることもあります。
早期発見のためには日頃から体の声に耳を傾けて、早め早めの対処が大切です。ここでは、体重減少とともに覚えておきたい、見逃しやすい大腸がんのサインを紹介します。
便通異常
大腸がんの代表的な症状の一つが、便通の変化です。下痢や便秘が繰り返し起こる、便が細くなる、残便感が続くなど、いつもと違う便通異常が続く場合は何かしらの疾患が隠れているかもしれません。
大腸がんの場合、腫瘍が腸管を狭くし、便の通過を妨げることでこうした変化が現れます。便通の異常が数週間以上続く場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
腹痛・膨満感
進行する大腸がんでは、腹部に痛みや張り感(膨満感)が現れることもあります。腸が部分的に狭くなるとガスが溜まりやすくなり、不快感や腹鳴、張りをともなうこともあります。
腹痛は場所や強さが一定でないこともあり、ほかの消化器疾患のトラブルと見分けがつきにくいので、長く続く場合は受診の検討をしましょう。
血便や貧血
大腸がんは腸管内で出血を起こすことがあり、血便や黒色便の形で現れることもあります。ただし、上行結腸など右側に生じる大腸がんでは血液が便と混ざり、目で見てわかりにくいことも多いのが特徴です。
そのため、出血による慢性的な貧血(動悸、めまい、倦怠感など)がきっかけで発見されるケースも少なくありません。貧血の症状が続く場合も、放置せず検査を受けることを検討したいところです。
大腸がんの検査と診断
大腸がんは早期には症状が出にくいため、定期的な検診や適切な検査による早期発見が重要です。大腸がんの診断では、複数の検査を組み合わせて腫瘍の有無や進行度、転移の有無を評価します。ここでは主な検査方法を紹介します。
便潜血検査
便潜血検査は、便のなかに含まれる微量な血液を検出する検査です。肉眼では見えない出血もとらえられるため、早期がんを見つけるためのスクリーニングとして非常に有効です。
自治体や職場の健診でも広くおこなわれており、陽性の場合は精密検査(内視鏡検査)へ進みます。検査は負担が少なく、便を2日分提出するだけで完了します。
大腸内視鏡検査
便潜血検査が陽性だった場合や、症状がある場合に実施されるのが大腸内視鏡検査です。
肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を直接観察します。ポリープやがんの有無を高精度に評価でき、同時に組織を採取(生検)して病理診断も可能です。
検査前には大腸内をきれいにするために準備が必要で、4~5時間程度かかりますが、がんの早期発見・予防において確実な方法の一つです。
CTやMRIなどの画像診断
大腸内視鏡で病変が確認された場合や、がんが進行している可能性がある場合は、CTやMRIによる画像診断がおこなわれます。
各種画像診断により、腸壁の深達度、リンパ節転移、周囲臓器への浸潤、肝臓や肺など遠隔臓器への転移の有無を評価します。
近年ではCTコロノグラフィーという3D画像を使った仮想内視鏡検査も普及しつつあり、検査技術が向上しています。
血液検査・腫瘍マーカー
血液検査では、貧血の有無や肝腎機能など全身状態を確認するほか、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)の測定もおこないます。これは、進行例や再発例で異常値を示します。
腫瘍マーカーは大腸がんの診断を確定するものではありませんが、治療前後の変化をモニタリングし、再発や転移の早期発見に役立ちます。
大腸がんの場合、総合的な検査結果を組み合わせて診断し、最適な治療計画を立てるのが一般的です。
まとめ
大腸がんによる体重減少は、がん細胞の増殖や炎症による代謝異常、食欲低下など複合的な要因が絡むことで生じます。一つの目安として「過去半年で5%以上の体重減少」は、病的な体重減少の目安とされています。
定期検診や体重管理を習慣にして、早期発見・早期対処につなげていきましょう。また、すでに体重減少を自覚している場合は、放置せず専門的な診断を受けることを検討したいところです。
原因を特定し、適切な治療や緩和ケアを含めた包括的なサポートを受けることで、生活の質を保ちながら治療を進める選択肢を考えていきたいですね。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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