2025.01.29
がんがん治療にかかる費用とは?事前対策と高額治療への備え方を解説

目次
がんと診断されたとき、治療費の負担がどの程度かかるのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
がん治療は一般的に長期にわたり、高額になるケースも少なくありません。
がん治療を受ける場合、標準治療だけでなく先進医療や自由診療を選択することもあるでしょう。標準治療以外を選択した場合、経済的な負担が一気に膨らむこともあります。
この記事では、がん治療にかかる具体的な費用や支払い例を解説し、負担を軽減するための事前対策についてもご紹介します。
がんの治療における医療の種類
がん治療には、治療にかかる費用そのものだけではなく病院に通うための交通費や自宅で療養を続けるための生活費など、さまざまな費用がかかります。
保険診療や先進医療、自由診療など、治療方法によって費用負担の割合が異なるため、あらかじめできるだけ把握しておきたいですよね。ここでは、がん治療にかかる具体的な費用と、その内訳について詳しく解説します。
保険診療
現段階で医学的に効果が証明された最善の治療を「標準治療」と呼びます。標準治療は多くの患者さんに対しておこなわれることが推奨されていて、健康保険などの公的医療保険の対象になっています。
さまざまながんの診療ガイドラインに沿って標準治療をすすめるのが一般的です。
標準治療は基本的に公的医療保険の対象となります。しかしこれには、通院や入院のときにかかる交通費や入院中のタオルやパジャマなどのレンタル代などは含まれていません。
公的医療保険の対象となるもの
診察費、検査費、入院費、手術・放射線・薬物療法などの治療費薬代
がんの治療にかかる公的保険の対象外となるもの
通院・入院時の交通費、公的医療保険の対象外の治療の費用(開発中の試験薬や医療機器を使った場合)、個室などの差額ベッド代、診断書などの作成料、入院中の食費、入院中のパジャマやタオルなどのレンタル代、日用品
先進医療
一方で先進医療とは、主に大学病院や研究施設などによって研究開発され、臨床試験をおこなうことで確立してきた先進的な治療のうち、標準的な治療法として公的医療保険を適用するかどうか検討中の医療です。
自由診療
保険診療や先進医療の他に、健康保険適用外の治療は基本的に「自由診療」となります。自由診療での治療を選択すると、かかる費用は全額自己負担です。保険適用の対象になる前に、医師が独自で取り入れてる治療や民間療法などがこれにあたります。
自由診療の中でも、がんの統合医療のひとつとして関心を集めているのが「フコイダン療法」です。
フコイダンは、モズクやコンブといった海藻に含まれる天然の成分で、ふだんの食事で海藻を召し上がっている方であれば、安心して取り入れていただけるものです。当院・日置クリニックでは、このフコイダンを用いたサプリメント療法を行っており、これまでの治療歴や現在の体調を丁寧にお聞きしたうえで、お一人おひとりに合った方法をご提案しています。
治療費は、症状や使用する量によって異なりますが、目安としては1ヵ月あたり6万円から20万円程度です。抗がん剤や放射線治療との併用も可能ですので、併用をご希望の方は、現在の治療予定表をご持参いただけますと、より適切なご案内ができます。
これまでの臨床では特段の副作用は確認されておらず、がんの種類や進行の段階に関わらず、幅広く対応できる点もこの療法の特長です。標準治療だけでは不安を感じている方、何かもう一歩前に進みたいと感じている方にとって、フコイダン療法は治療の選択肢のひとつになり得るかもしれません。
ご興味のある方は、実際のフコイダン療法の臨床例もぜひご参考になさってください。
>>>フコイダン療法の臨床例
実際の治療にかかる支払い例
では、実際にがんの治療を受けた場合にはどのくらいのお金がかかるのでしょうか?一例をもとに具体的な費用の参照をみてみましょう。
【手術】
外科手術は、原発切除術と転移巣切除の2つです。がんの種類や大きさによっては、開腹手術以外にも腹腔鏡や内視鏡を使うことがあります。手術は、医療費(10割負担と仮定した金額)として、開腹手術100-200万円、腹腔鏡手術150万円、内視鏡手術60〜80万円程度です。外科手術とその入院時費用は、公的医療保険や高額医療費制度の補助を受けることができ、手術後に還付されます。実際の自己負担費用は月に3〜25万円になることが多いです。※1
【放射線治療】
放射線治療は原発治療と再発巣治療、緩和治療のときに行われます。原発の根治やコントロールを目的とした照射を数週間連続でおこなう場合は、医療費で70〜100万円程度です。つらい症状を和らげるための1日~1週間程度の照射の場合は、医療費で約10万円程度です。実際の自己負担費用のイメージは、医療費が150万円のとき、3割負担で約45万円、1割負担で約15万円になります。
【薬物療法】
内科治療は術前補助療法、術後補助療法、再発時の治療があります。それぞれがんの種類によって、レジメンと呼ばれる、投与回数と種類の定められた抗がん剤レシピがあります。レジメンごとに値段が全く異なりますが、複数種類を同時に使用する治療や、ノーベル賞を取ったことでも有名になったオプジーボなどの免疫療法薬を使った治療は、金額が高くなります。レジメンの初回治療を入院で行い、同じレジメンの2回目以降は通院で治療をおこなうことが多いです。
【先進医療】
先進医療は、厚生労働大臣が治療法として承認しているもののうち、その安全性や医療費の観点から現時点では公的保険の対象となっていない治療全般を指します。他の治療と違い、公的保険や高額医療費制度が適応されないため非常に高額です。
がん治療における先進医療は、重粒子線治療、陽子線治療、手術補助機器(ダヴィンチ)などが該当します。重粒子線治療を例に挙げると、公的保険対象となるがんの種類や治療タイミングではなかった場合、自己負担費用は300万程度です。
※1厚生労働省.高額療養費制度を利用される皆さまへ
【がん治療の具体的な費用例】
・胃がんstage2、1年間の治療費
治療は、手術+再発予防薬物療法(TS-1という飲み薬の抗がん剤を術後1年間のみ内服するレジメン)を例に考えてみましょう。※2
医療費は、手術費用が約140万円、TS-1の薬剤費用が約7.5万円/月、検査費用が約4万円/月かかります。年間総医療費の合計は、(手術費用140万円+TS-1薬剤費90万円+検査費用48万円)=278万円です。
では実際の自己負担費用はいくらでしょうか。手術月に最終的に自己負担する金額は、ほとんどの場合高額医療費制度の上限金額に達します。年収370~770万円の方であればおおむね9万円前後(所得と実際の費用に応じて3.5〜25万円の範囲で変動があります)に収まります。それ以降11ヵ月間、3割負担であれば、7.5万円/月のTS-1の薬剤費は約2.5万円、4万円/月の検査費用などは約1.4万円/月です。
つまり、年間の自己負担費用は、9万円+(2.5万円+1.4万円)×11ヵ月=52万円程度と試算されます。
※2がん治療費.部位別がんの治療費:胃がんⅡ期ステージでの治療方法と治療費(概算)
緩和ケアにかかるお金
自力通院できない状態で自宅で過ごす場合には、訪問診療・訪問看護の費用が掛かります。医療費でそれぞれ3〜5万円程度のため、公的保険の適応後の実際の自己負担費用は月1〜2万円です。
その他、訪問介護や自宅の改修費用、介護ベッド・車椅子レンタル費用なども掛かりますが、これらは公的介護保険や市区町村からの補助、高額介護合算療養費制度が利用できます。
緩和ケア病棟に入ることになったら、初回面談費用(〜数万円、1回のみ)と入棟後の部屋代(〜数万円/日)が発生しますが、これらに対する公的補助はありません。
がんになった時の金銭的な助成や補助
公的助成制度と、公的ではない助成制度があります。公的助成制度には、公的医療保険、介護保険、高額医療費制度、障害年金、自治体独自の医療費助成制度などがあります。相談先は病院の医療ソーシャルワーカーの他、全国にあるがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターでも個別相談が受けられます。
公的ではない助成制度には、企業に勤務されている方への福利厚生として傷病手当金があります。
ここでは、がん治療にともない活用できる公的資金について解説します。
高額療養費
大腸がんなどの治療を受けると、自己負担の費用が高額になることもあります。高額療養費制度を活用すると出費を抑えることが可能です。
高額療養費制度は保険診療にかかる自己負担額が一定の限度額を超えたときに、収入比に応じて一定額以上自己負担が発生しないようにする制度です。
患者さんの受診方法により異なりますが、いったん高額になった医療費を支払い、申請することにより超過分が後日に還付されます。
近年では、マイナンバーカードを健康保険証(=マイナ保険証)として利用することで、高額な医療費がかかった場合でも、手続きなしで支払いが自己負担限度額までに自動で調整される仕組みが整いつつあります。この制度は、オンライン資格確認システムを導入している医療機関や薬局で、マイナンバーカードを使って受診するだけで利用できます。これまでのように高額な医療費をいったん全額支払う必要がなくなるため、家計への負担を抑えることができます。ぜひこの制度を上手に活用しましょう。
(参照:協会けんぽ|https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156/?utm_source=chatgpt.com)
傷病手当金
働いている人が業務外の病気や怪我で仕事ができない場合(休職した場合)に利用できます。申請方法など詳しい条件については健康保険の窓口で確認するとよいでしょう。
身体障害者手帳
永久的な人工肛門を作った人が術後に申請できます。基本的に主な等級は4級になりますが、症状により個人差はあります。居住地の市区町村役所の障害福祉課や福祉事務所で所定の用紙をもらい、身体障害者診断書、意見書、顔写真などを持参して手続きすると、審査後に身体障害者手帳が交付されます。
手帳があると人工肛門の装具の購入時に使える、日常生活用具支給券の交付を受けたり、交通機関の運賃が割引になったりします。
人工肛門をつけた方が年金に加入していれば、障害年金の給付、障害者控除、医療費控除なども受けられる場合があります。自治体の窓口であわせて確認しておくのがベストです。
介護保険
65歳以上で介護が必要だと認定されると、等級に応じた介護サービスが受けられます。医師が回復は困難と診断した末期がんの患者さんであれば、40歳以上の人でも利用が可能です。
在宅介護サービスには、訪問看護、訪問介護、家事援助、福祉機器のレンタルなどがあります。
利用料は1割から一定以上の所得者は2~3割の自己負担で済みます。申請は市町村の福祉担当窓口です。
在宅医療
がんの患者さんでは、在宅での緩和ケアや終末期医療をおこなうこともあります。在宅医療行為には、酸素吸入、痰の吸引、カテーテルを使った排尿、経管栄養などがあります。
本来、医師か看護師しかおこなえない医療行為ではあるのですが、家族に限って一部の対処が認められています。
医師などの指導を受けたうえでケアをはじめるのが一般的です。患者さんが家計の大黒柱であった場合、療養により収入が途絶えて生活に困るようであれば、生活保護生活福祉資金貸付制度などを利用する方法もあります。
市町村の福祉担当窓口や年金担当厚生年金の年金事務所などに相談してみましょう。
がんと診断される前から個人でもできるできる事前対策
がん治療には高額な医療費がかかることが多く、公的資金が活用できない出費もあります。そのため、がんと診断される前にできる対策を考えておくことが重要です。ここでは、がん保険や貯蓄など、個人でも備えられるものを解説します。
がん保険
がん保険は、がんと診断された際に治療費や入院費、通院費などを補償してくれる保険商品です。一般的な医療保険ではカバーしきれない高額ながん治療に備えるために、加入を検討する人もいるでしょう。
【がん保険のメリット】
・治療費の補償:放射線治療や抗がん剤治療など、保険適用外の治療費にも対応している商品がある
・入院・通院費のサポート:長期入院や頻回の通院が必要な際に、日額給付金が支給されるケースもある
・先進医療特約:標準治療ではない、重粒子線治療や陽子線治療などにも対応する特約が付けられる
【加入時の注意点】
・告知義務:既往歴がある場合は正直に申告しないと、保険金が支払われないリスクがある
・保険の種類と給付内容のミスマッチ:がん保険にもさまざまなタイプがあり(入院日額型、診断一時金型、先進医療特約型など)、自分のニーズに合ったものを選ぶことが大切
・免責期間:がんと診断されてすぐに支払いが発生しない免責期間がある場合もあるため、契約時に確認する
貯蓄
がん治療の費用は、保険でカバーできる範囲を超えるケースもあります。そのため、がん保険に加入している場合でも、貯蓄による備えがあるとなおよしです。
【貯蓄が有効な理由】
・予期せぬ出費:入院中の雑費や交通費、治療に付随する生活費など、保険適用外の費用が多い
・自由診療費用の負担:がん治療で自由診療を選択する患者さんもいて、その場合には全額自己負担となる
・療養期間の生活費:働けない期間が長く続くと、収入減少に備えるための生活費が必要になる
がん相談支援センターに相談
がんと診断されたとき、本人はもちろん家族もショックを受け動揺していることも少なくありません。精神的・肉体的な負担はもちろん、経済的な負担について不安や戸惑いを感じることもあるでしょう。
本人や家族だけでは問題を抱えきれず、悩みを深くしてしまうこともあります。このようなときに利用できるのが全国のがん診療連携拠点病院に設置されている「相談支援センター」です。
がんの専門相談員の研修を受けた看護師や医療ソーシャルワーカーなどのスタッフが、がんの治療情報の提供はもちろん、生活支援や助成制度などの情報も提供しています。
がんと診断された時点はもちろん、治療を始める前からも活用できるため早めに問い合わせを検討するのもよいでしょう。
高額ながん治療とは?
がん治療は、病状や治療法によって数十万円から数百万円に及ぶケースもあり、さらに長期間にわたる治療が必要であることもあります。
特に、標準治療ではない先進医療や自由診療が選択肢に入ると、負担はさらに大きくなります。
比較的高額になりがちながん治療についてみてみましょう。
【高額ながん治療の代表例】
・先進医療費用:重粒子線治療(約300万円)、陽子線治療(約250万円)など
(※一部のがんでは保険診療対象となっているものもある)
・免疫療法費用:オプジーボ治療(年間数百万円)
・自由診療:標準治療の適用外の抗がん剤や特別な放射線治療
標準治療に加えて、先進医療や自由診療を選択することで、がん治療費は大幅に高額化します。長期治療が想定される場合は経済的な備えが重要です。選択肢を広げるためにも、公的制度や保険の活用を前提に、医師と相談しながら自身に合った治療計画を検討しましょう。
まとめ
今回はがん治療にかかる費用についてまとめました。日本の公的補助はとても充実しており、一般的な病院の治療には高額医療費制度などが活用できるようになっているため、特に具体的に紹介しました。
もし費用が心配であれば、治療を始める前にいくつかの治療パターンで費用の見通しを出してもらうことも可能です。「お金がかかるから」と諦めず、一度は話を聞いてみてください。
この記事が、がん治療にかかる金額の見通しや補助制度、相談先の参考など、皆様のお役に立てるとうれしいです。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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