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白血病の症状とは?種類・原因・診断・治療法を解説

白血病の基礎知識:種類・原因・診断・治療法を解説

白血病は、白血球の異常な増殖によって体全体の免疫システムが損なわれる状態です。

白血病は「急性」または「慢性」、「骨髄性」または「リンパ性」の4つのタイプに分類され、それぞれ異なる症状や治療法があります。

本記事では、白血病の基本的な知識から原因、症状、診断方法、治療法までを詳しく解説します。また、血液細胞の役割についても触れながら、白血病の理解を深めていきましょう。

>>【簡単理解】白血病とは?原因や症状、診断に伴う検査や最新の治療法を解説

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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白血病とは

白血病とは
(参照:https://oshiete-gan.jp/leukemia/facts/basics/

血液のがんの代表ともいえる白血病。白血病とは、血液細胞のなかでも主に白血球に育っていく途中の段階の細胞や、白血球そのものが異常に増えていく病気です。
白血病はそのなかでも未熟な白血病細胞がどんどん増えていく「急性白血病」と成熟した細胞がゆっくり増えていく「慢性白血病」に分けられます。
さらに「骨髄系」と「リンパ系」の細胞からなるがんとに分けられ、大きく4つに分類されます。

骨髄性 リンパ性
急性 急性骨髄性白血病(AML) 急性リンパ性白血病(ALL)
慢性 慢性骨髄性白血病(CML) 慢性リンパ性白血病(CLL)

急性白血病

急性白血病
(参照:https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/blood-cancer-genetics/blood-cancer/leukemia/
急性白血病では、分化が止まった未熟な細胞が急速に増えていくことにより正常な細胞が減っていく状態です。 進行が早いため、発症後間もない時期からさまざまな不調が現れやすくなります。

急性骨髄性白血病(AML)

白血球の未熟な前駆細胞が異常増殖し、正常な血液細胞を圧迫します。小児にも成人にも多く見られ、化学療法や造血幹細胞移植が主な治療法です。

急性リンパ性白血病(ALL)

リンパ系の未熟な細胞が異常増殖するタイプで、小児に多く発症します。小児では比較的治療成績が良好で、治療方法は化学療法や分子標的薬が多く用いられます。

慢性白血病

慢性白血病には慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病があります。健康診断などの機会に受けた血液検査で発見されることがあり、進行速度は比較的ゆっくりです。

慢性骨髄性白血病(CML)

白血球がゆっくりと異常増殖するタイプで、慢性期、移行期、急性転化期の3段階に分けられます。成人に多く、小児には稀です。フィラデルフィア染色体という特異な遺伝子異常が原因であり、薬物療法を中心に治療は進みます。

慢性リンパ性白血病(CLL)

免疫に関わる血液細胞の一つであるBリンパ球が異常に増殖する血液がんの一種です。この病気は通常、ゆっくりと進行し、多くの場合、症状が現れるまでに数年から10年以上かかることがあります。初期段階では無症状のことが多いですが、病気が進行すると発熱や寝汗、体重減少などの症状が現れることがあります。治療方法は患者さんの状態に応じて個別に選択され、主な治療選択肢には薬物療法、放射線療法、造血幹細胞移植などがあります。

白血病の原因

白血病の原因は今のところ完全には解明されていません。しかしながら他のがんと同様に、何らかの原因で血液細胞内の遺伝子情報が傷ついたり、正しく伝わらなくなれば血液細胞が勝手に分裂増殖を繰り返すようになり白血病につながる一因になりえるといえるでしょう。
はっきりとした原因は分かっていないものの、白血病に関連するかもしれない要因はいくつか考えられています。

放射線被ばく

放射線被ばく
高いレベルの放射線を受けると白血病のリスクが増加します。過去の原爆被爆者や放射線治療を受けた患者でリスクが上昇することが確認されています。
一般的なレントゲン撮影や画像検査に用いられる程度なら問題ありません。

ウイルス感染

成人T細胞白血病(ATL)は、乳幼児期にHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に感染したことにより起こるとされています。ただし 感染が見られたからといって必ずしも 白血病を発症するのではなくそのうちの 約5%程度か 白血病につながると考えられています。
このほかにも喫煙や過度の飲酒、ストレス、加齢や免疫異常などが要因と考えられることもありますが、はっきりとした因果関係は分かっていません。

白血病の症状

白血病の症状は、基本的には正常な血球細胞が減少したことにより起こる症状です。一般的に慢性白血病であれば、初期には症状が現れにくく、症状が進行したことにより症状が現れます。一方で急性白血病の場合、初期の頃からさまざまな症状が現れます。

赤血球減少により起こる症状 貧血:顔色が悪く、疲労感や息切れが現れる
倦怠感:持続的な疲労感やだるさ
白血球減少により起こる症状 易感染:免疫力低下による頻繁な発熱や感染症
血小板減少により起こる症状 出血傾向:鼻血や歯茎からの出血、青あざができやすい

さらに症状が進むことで以下のような症状も現れます。
骨や関節の痛み:骨髄の圧迫による痛み。
全身症状:体重減少や食欲不振。
腹部膨満感:脾臓や肝臓の腫大による違和感。

白血病の診断方法

白血病は主に 4種類に分類されますが、どのタイプの白血病にしても多くの場合、各種血液細胞の数や割合など、血液検査のデータに異常が見られます。
一般的には血液検査の詳細と骨髄検査もおこなったうえで診断が確定します。

血液検査

血液検査
白血病が疑われる際の最初の検査です。血液中の白血球、赤血球、血小板の数を調べる他に、白血球分画と呼ばれる好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、の割合を確認します。さらに顕微鏡検査、白血病細胞の表面に現れている抗原の解析、染色体や遺伝子の異常の検出なども合わせておこないます。異常な白血球が検出される場合に白血病の可能性が高まります。

骨髄検査

骨髄から細胞を採取して詳細な分析をおこないます。骨髄中の異常な血液細胞の有無やその割合、さらに正常な血液細胞の種類や割合も確認します。骨髄検査は白血病の確定診断に不可欠な検査です。骨髄検査によって病型や進行度も合わせて特定するためにおこなわれます。

遺伝子検査

白血病のタイプによっては特有の染色体異常や遺伝子異常が見られる場合もあります。 遺伝子異常や染色体異常の有無を検出することで、白血病のタイプを特定し、治療方針を決定する参考にします。

画像診断

CTやMRI、PETなどで脾臓やリンパ節、肝臓などが腫れていないか確認します。 また、合わせて心臓の機能の検査などもおこない、治療に耐えられる状態かを含め、全身状態を確認します。

白血病の治療

白血病の治療は、白血病のタイプや進行度により基本的には薬物療法を中心に進められます。 また、どのような治療を取り入れるかは患者の年齢や体力に応じて慎重に選択されます。タイプや病床によっては積極的な治療を施さずに経過観察をする症例もあります。

薬物療法

白血病の治療は、基本的に白血病細胞を破壊するための抗がん剤を使用します。急性白血病では標準的な治療であり、白血病の化学療法では、基本的に複数の抗がん剤や分子標的薬なども含めた多剤併用化学療法がおこなわれます。
近年ではそのなかでも特に慢性白血病に対して優秀な成績を上げている分子標的薬 も登場していて、服用で治療が進められるようにもなりました。
慢性骨髄性白血病(CML)ではチロシンキナーゼ阻害薬(TKI) という 分子標的薬が高い効果を発揮しています。

骨髄移植(造血幹細胞移植)

薬物療法などによる治療が難しい場合には 骨髄移植が検討される場合もあります。ドナーとなる方の骨髄や血液から健康な幹細胞を移植する方法です。
患者さん自身の白血病細胞を排除したあとに移植することで、新しい健康な血液細胞を作り出します。移植をおこなうときには、患者さんの体内で起こりうる免疫反応を防ぐため、HLAという型の一致度が高いドナーから造血幹細胞の提供を受けることが大切です。

血液細胞とは

血液細胞とは
(参照:https://oshiete-gan.jp/leukemia/facts/basics/

白血病は、正常な血液細胞の数が減ってしまうことでさまざまな症状が現れます。一口に血液といっても、その中身を見ると主に「赤血球・白血球・血小板」に分けられ、それぞれが、全身の健康状態を維持するのにさまざまな役割を担っています。

血液を構成する主要な成分は「血液細胞」と呼ばれ、これらは骨髄で産生され、血管を通じて全身を巡ります。血液細胞の役割を知ることで、白血病に対する理解も深められるでしょう。

赤血球

赤血球は、血液細胞のなかで最も数が多く、酸素を全身の組織に供給する重要な役割を担っています。赤血球に含まれるヘモグロビンというたんぱく質が酸素を結合・運搬する仕組みです。
また、二酸化炭素を肺に運び出す働きもあります。赤血球の数が減ったり、形態に異常があり本来の機能が果たせないと貧血などの症状につながる可能性があります。

  • 機能: 酸素と二酸化炭素の運搬
  • 寿命: 約120日

 

白血球

白血球は、免疫機能を担う血液細胞で、感染症や外敵から体を守る役割があります。白血球はさらに以下の種類に分かれ、それぞれ特化した機能を持っています。単球、好中球、好塩基球、好酸球、リンパ球に分けられます。さらにリンパ球にはB細胞とT細胞があり、その他にNK(ナチュラルキラー)細胞もあります。

  • 機能: 免疫応答の調節と病原体の排除
  • 寿命: 種類により異なる(数時間~数年)

 

単球 単球は体内の異物を取り込み、分解する役割を担います。血管外に出るとマクロファージという細胞に変化し、異物の処理や免疫応答の活性化をおこないます。
好中球 白血球のなかで最も多く存在し、感染部位に最初に集まり異物を攻撃します。特に細菌に対抗します。
好塩基球 アレルギー反応に関与し、ヒスタミンを放出することで体を守ります。花粉症やアレルギー疾患とも関連があります
好酸球 アレルギー反応に関与します。特に気管支喘息やアトピー性皮膚炎でその役割が注目されます
リンパ球 B細胞: 抗体を産生し、病原体を特異的に攻撃します。
T細胞: ウイルス感染細胞やがん細胞を直接攻撃します。
NK(ナチュラルキラー)細胞: ウイルス感染細胞やがん細胞を排除します。

血小板

血小板は、出血を止めるために血液を凝固させる働きを持ちます。血管が傷ついた際、血小板が傷口に集まり、血栓を形成して止血します。血小板の数や機能に異常があると、出血傾向や血栓症のリスクが高まります。

  • 機能: 血液凝固と止血
  • 寿命: 約7~10日

まとめ

白血病はそのタイプや進行度によって症状や治療方法が大きく異なります。

血液検査や骨髄検査を通じた正確な診断は化学療法や骨髄移植といった治療法を決定するのに重要な要素です。

血液検査により血液細胞の正常な機能の維持がどのような症状を生じさせているのかの参考とすることもできるでしょう。

本記事が、白血病に関する理解を深める一助となれば幸いです。

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がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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