2024.04.04
がん膀胱がんのステージとは?知っておくべき2-3期の症状や治療法・余命について解説
膀胱がんは膀胱内の粘膜から腫瘍が発生する上皮がんです。膀胱がんステージ2・3の状態は、膀胱の筋肉にはまだ腫瘍の浸潤が見られない状態。ゆえにシンプルな対策として、膀胱摘出が検討されますが、膀胱がなくなることで生活様式が大きく変化します。この記事では、膀胱がんステージ2・3における症状の特徴や、治療法について解説します。
膀胱がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>膀胱がんとは?その症状と特徴について
目次
膀胱がんとは
膀胱とは腎臓で作られた尿を一時的に貯めておく袋型の臓器です。膀胱の組織を内側から見ると「尿路上皮」という粘膜で覆われています。膀胱がんの大半は、この粘膜上皮から発生する「尿路上皮がん」というタイプです。
膀胱がんは男性に多いと言われていて、患者数は女性の3倍以上と言われています。これは膀胱がんの危険因子とされる「喫煙者」が男性に多いからではないかと考えられているためです。※1
また、加齢も膀胱がんの危険因子の一つとされています。60歳を超えると膀胱がんの患者さんが急増することから、このように考えられています。
※1 NHK健康チャンネル、2022年
血尿がサイン!男性に多い「膀胱がん」とは 症状や原因・検査・治療法
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_21.html
膀胱がんの浸潤状況
膀胱がんである尿路上皮がんは尿路上皮に発生し、進行するにつれて内側から外側に浸潤していきます。
がんが粘膜の下層部分で留まっている場合は、治療法として膀胱を残す選択ができますが、粘膜下層より深い筋層にまで達してしまうと膀胱をすべて摘出する手術が必要になってきます。
また同じように、浸潤が深くなればなるほどがんが他の体の部位に転移しやすくもなるのです。
(参照:https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/treatment.html#depth)
膀胱がんのステージとは?
膀胱がんのステージはがんの広がりを示す指標の1つとして「TNM分類」をもとに決定されます。また、膀胱壁への浸潤度も参照してステージが決められます。
膀胱がんは、がんの広がりとがんの浸潤度の組み合わせで0〜4期のステージに分類されます。0〜4期の病気を判別するのに重要な要素となる「T因子」が浸潤度の大きな指標です。
TNM分類について詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。
膀胱がんステージ1の状態
膀胱がんはステージ0-4までの5段階にわけられます。0-1期は膀胱がんの初期段階です。詳しくは以下の記事を参照してください。
>>膀胱がんの初期「ステージ0-1期」の症状・治療法・余命について解説。
膀胱がんステージ2.3それぞれの状態
膀胱がんステージ2とは、他臓器に転移は見られないけれども膀胱壁の筋層にまでがんが浸潤している状態です。
また、膀胱がんステージ3は、多臓器への転移は見られないものの、膀胱壁の筋層を超えて脂肪組織にまで腫瘍の浸潤が見られる状態です。3期の場合には脂肪組織への浸潤のほかに周辺のリンパ節への転移も確認ができます。
膀胱がんステージ2・3で見られる症状
膀胱がんでは比較的早くから痛みのない血尿症状が生じることがあります。痛みはなく、一時的に血尿にはなるものの、長くは続かないため「疲れかな?」「勘違いかも」などと、病院への受診を放念してしまうケースもあります。まれに頻尿や排尿時の違和感が生じることもありますが、ステージ2.3では多臓器への転移や痛みの神経などへの浸潤は見られないので初期の頃と症状に大きな違いはありません。
膀胱がんステージ2・3における治療
膀胱がんの治療において重要視されることの一つは、「膀胱を温存できるか」どうかです。そのためには腫瘍の悪性度や浸潤度を調べ、治療方針を決定することから始まります。膀胱がんステージ2.3の場合には、主に尿路変更術を主流として治療を進めます。
尿路変更術
(参照:https://www.cancernet.jp/boukougan/bladder-stage)
膀胱を取り出してしまうと、尿路変更といって尿道からの排泄はできなくなります。尿路変更術を受けると一般的にはお腹から「ストーマ」という尿の開口部を作り出し、ここから尿が出るように手術をするのが前提です。
通常の排尿とは大きく異なる生活仕様になるので、治療方針の決定は患者さんとよく話し合って決めるのが一般的です。
最近では膀胱を摘出しても自然な排尿を追求できるようになった代用膀胱作成術もありますが、手技が複雑でありすべての患者さんにおこなえるわけでありません。
膀胱がんにおける尿路変更術にはいくつかの方法がありますが、治療の方向性と術後の生活様式を加味して患者さんと十分に話し合い決定します。
・膀胱部分切除術
最近では主流ではなくなりましたが、腫瘍を含めて膀胱壁の一部を切り取る手術方法です。膀胱容量は、手術後に一時的に小さくなりますが、徐々にある程度の大きさにまで戻ります。
膀胱部分切除術方法は、腫瘍が大きくて経尿道的膀胱鏡では切除できないけれども、膀胱筋層まで腫瘍が浸潤していないこと、腫瘍の境界がはっきりしていること、膀胱内の切り取りやすい場所に膀胱内の腫瘍が存在することなど、いくつかの手術適用条件があります。
この手術の最大の利点は術後も軽尿道的な自然な排尿ができることが挙げられます。
・尿管皮膚瘻(ろう)術
(参照:https://knowledge.nurse-senka.jp/233157/)
膀胱がんの手術としては比較的簡単な尿路変更術の一つです。左右の尿管の断端を皮膚に解放させる方法で、腹部にストーマ※2を形成します。開口部には「パウチ」と呼ばれる装具を皮膚に貼り付け、体外に排泄した尿を集積します。
デメリットとしては、膀胱のように作り出された尿を溜めることができないので、ストーマ開口部より絶えず尿が流れてきます。ゆえにパウチを装着しての生活が必須となります。また、ストーマの開口部が狭窄しやすいデメリットもあります。
※2 ストーマ:手術によっておなかに新しく作られる便や尿の排泄の出口のこと
・回腸導管術
(参照:https://knowledge.nurse-senka.jp/233157/)
尿管皮膚瘻の一つとして、腸の一部である回腸の一部を使う方法です。本人の回腸を使って人工膀胱を作り出し、そこから尿を集積するストーマを作ります。
前述した尿管皮膚瘻では、ストーマ開口部の狭窄をきたすことがデメリットの一つでした。回腸導管術は手術も比較的簡単であり、ストーマ開口部の狭窄をきたす可能性も少ないため、現在では尿路変更術の主流手術の一つとなっています。
尿管皮膚瘻と同じように、パウチを使わなければなりませんが、術後の合併症が少ないことがメリットといえるでしょう。
・代用膀胱増設術
(参照:https://www.specialist-doctor.com/contents/bladder-cancer/stage0-4/stage2-3-treatment/)
患者さんの腸管を活用して膀胱のような尿を溜める集積袋をつくり体内に収容する方法です。ストーマから尿を排泄する方法と、新膀胱にカテーテル(管)をいれて排泄する方法があります。
しかし、代用膀胱を作成したとしても尿意を感じる神経は作れないので、定期的に尿を排泄するためにトイレに行く必要があります。また、腹圧をかけながら排尿をするので、患者さん自身の排尿にともなうトレーニングも必要です。
・経尿道的腫瘍摘出手術
尿路変更術ではありませんが、膀胱がんの初期症状に対する手術のひとつです。膀胱鏡のように器具を尿道から挿入し、ループ型の電気メスを用いて、腫瘍の根元から焼き切り、がんを切除する方法です。
>>膀胱がんの初期「ステージ0-1期」の症状・治療法・余命について解説。
薬物療法
患者さんの状態や治療の方針により、膀胱を温存する選択肢も取られます。ただ、その場合再発のリスクがともないます。再発の有無を確認するのに定期的な受診が重要です。また、再発が見られた場合には、ステージ0-1期の薬物療法と同じような方向性で治療が進められます。
また、最近では薬物療法を補助療法として活用することもあります。詳しくは
以下の記事を参照してください。
>>膀胱がんの初期「ステージ0-1期」の症状・治療法・余命について解説。
放射線療法
膀胱がんステージ2・3の場合、基本的には膀胱摘出が治療の第1選択です。しかし、患者さんが膀胱の温存を強く望まれた場合は、放射線療法なども併用しながら治療を進めていくケースもあります。
膀胱がんステージ2・3の余命は?
(参照:https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c15#h-title)
膀胱がんステージ2.3は、腫瘍の浸潤が筋層以上に及んでいます。選択肢も手術をともなう外科療法が中心となります。膀胱をとっても尿管などの上皮に転移するケースもあり、膀胱を取り切っていても経過観察は重要となるのです。
膀胱がんステージ2.3の余命は、がん情報サービスの2014-2015年5年生存率を参照すると30台後半から40台後半と、数字だけで見ると決して高い数字とはいえません。しかし、実際のところ尿路変更術を受けて数十年元気に生活され、温泉などの趣味を生きがいにしている患者さんもいます。
数字だけにとらわれ悲観的にならずに、生きがいや楽しみを見つけて「人生を豊かに」することに着目して見るとよいでしょう。笑顔ややりがいのある生活は、がんに対抗する「免疫力」をアップさせるサポートにもつながります。
(参照:https://kobayashibyoin.com/nk-cells/)
まとめ
膀胱がんは、尿を溜める臓器である膀胱の粘膜から発生する尿路上皮がんです。特に男性と高齢者に多く見られ、主なリスクファクターは喫煙と加齢。膀胱がんは浸潤度によって段階が分けられ、治療法もその程度によって異なります。
膀胱がんステージ2は膀胱壁に浸潤が見られますが、他臓器への転移はない状態。膀胱がんステージ3は脂肪組織への浸潤があり、周辺のリンパ節への転移も認められます。これらのステージにおいて、膀胱を温存するか全摘するかの治療選択がなされます。
膀胱摘出術が選択されれば患者さんの生活様式は大きく変化します。膀胱がんステージ2.3の生存率は数十年元気に生活できる例もあり、前向きな生きがいをもって免疫力を高めることが人生を楽しむ秘訣です。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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