2021.11.29
ドクターズコラムなぜ、フコイダンはがんに効くのか?

なぜ、フコイダンはがんにきくのか?
がんは今や、日本人の2人に1人がかかるとされる病気です。治療法が多様化する一方で、「本当に効果があるのか」「副作用は大丈夫か」といった不安や迷いも尽きません。
そんな中で、自然由来の成分でありながら、がんに対して3つの作用が期待されているフコイダンに、私は強い可能性を感じています。
- がん細胞に“自死”を促す【アポトーシス促進作用】
- がんの“栄養補給路”を断つ【血管新生抑制作用】
- 自己防衛力を高める 【免疫力強化作用】
本記事では、私の医師としての経験と仮説に基づき、「なぜフコイダンはがんに効果的なのか」という点を分かり易くご説明いたします。また、フコイダンと抗がん剤との併用による相乗効果についても、私の見解をお伝えしていきます。
目次
フコイダンの作用について
フコイダンは、これまでに数多くのドクターや研究者により研究されてきた天然由来の成分です。特に、がんやアレルギー、生活習慣病への有用性に関する研究が進められており、基礎研究の段階ではありますが、注目すべき作用が報告されています。
以下に、フコイダンが持つとされる代表的な作用をまとめます。
抗腫瘍・抗がん作用 | ・免疫力の強化 ・アポトーシス(細胞死)の誘導 ・血管新生の抑制 |
---|---|
抗アレルギー作用 | ・Th1/Th2バランスの調整 ・炎症細胞の抑制 |
肝機能向上作用 | ・HGF(肝細胞増殖因子)の産生促進 |
抗生活習慣病作用 | ・HGFの産生促進など |
抗ウイルス作用 | ・ヘルペス、HIV、インフルエンザなどに対する抑制効果 |
抗ピロリ菌作用 | ・ピロリ菌の減少効果 |
血液凝固阻止作用 | ・抗動脈硬化作用 |
美肌作用 | ・保湿効果 ・TGFの増加による真皮改善 ・コラーゲン生成の促進 |
育毛作用 | ・FGF-7(毛髪成長因子)の増強 |
以下は、より詳しく知りたい方のための参考文献リストです。
フコイダンの抗がん作用に関する総合的な考察
がんの本質的な特徴とは?
がん細胞は、正常な細胞のルールを無視して生き続ける存在です。私は、がんの本質を以下の3つの特徴に集約できると考えています。
- 無限の増殖能力
- アポトーシスからの逃避(=不死性)
- 血管新生による栄養確保
がんの代表的な特徴として、まず「無限の増殖能」が挙げられます。正常な細胞は、古くなって剥がれ落ちた分だけ新たに補われる秩序ある増殖を行います。しかし、がん細胞はこの仕組みを無視し、自律的に増殖を続けてしまいます。その結果、しこり(腫瘍)として目に見える形で現れることも少なくありません。
次に挙げられるのが「不死性」です。通常、細胞は重大な異常が発生すると自ら死を選ぶ(アポトーシス)機能が備わっています。これは、がん抑制遺伝子によって監視される“安全装置”とも言えるものです。しかし、がん細胞はこのアポトーシスから逃れ、半永久的に生き続ける性質を獲得してしまっています。
さらに、「血管新生」もがんの重要な特徴です。がん細胞が増殖を続けるためには酸素と栄養の供給が不可欠とされています。そのため、がん細胞は周囲に新たな血管を作り出し、エネルギー供給を確保する仕組みを持ちます。この血管新生は、がん細胞の“兵站”とも言える存在です。
私は、がんがワールブルグ効果(酸素が十分に存在していても、解糖系を優先してブドウ糖を大量に消費する代謝)を維持する上で血管新生が欠かせない要素であるという独自の仮説を持っていますが、この話は長くなるため、ここでは触れないことにします。
フコイダンががんに効果的であると考える理由──私の仮説
前述のように、「無限の増殖」「不死」「血管新生」という3つの特性が、がんという病の根幹を成していると私は考えています。フコイダンはこのうち「不死性」「血管新生」という2つの特性に対して、副作用のない自然由来成分として有効に働きかける可能性があり、ここに私は大きな意義を感じています。
具体的には、フコイダンには、次のような働きが期待されています。
- アポトーシスの促進作用:がん細胞に“自死”を促す
- 血管新生の抑制作用:がんの“補給線”を断つ
- 免疫細胞(NK細胞やCTLなど)の活性化:自然免疫の力でがんと闘う力を高める
これらの作用が複合的に働くことで、がんの進行を抑えるための“必要なピース”が揃うのではないか――それが、私の立てているひとつの仮説です。
抗がん剤との併用療法──“盲点”を補う鍵となる可能性
現在の抗がん剤は、がん細胞の「無限の増殖」を止めることには長けていますが、「不死性」や「血管新生」への直接的なアプローチは得意ではありません。
この“盲点”を補える存在こそが、フコイダンではないかと私は考えています。
今世の中にある治療薬で、がんの特徴である「無限の増殖」「不死」「血管新生」の3つを同時に抑え込むことができる単一の治療薬は存在しないと考えられています。ただ、抗がん剤とフコイダンの組み合わせならば、医学的見地からも、これら3つの特徴を抑え込める可能性があると言えるでしょう。
ここで、抗がん剤との併用療法により顕著な効果が見られた“分子標的薬アバスチン”の事例を紹介しましょう。
血管新生を標的とする分子標的薬アバスチンは、がん細胞の“兵站”を断つことで注目を集めた代表的な治療薬のひとつです。抗がん剤との併用により、単独使用時よりも高い奏効率が得られることが確認されています。
抗がん剤ががんの増殖を抑え、アバスチンが栄養供給路を断つ──この“両面作戦”により、治療効果が大きく高まったと考えられています。
この「併用療法」の発想は、フコイダンにも応用できると私は考えています。
フコイダンはこのアバスチンと似た血管新生の抑制作用があるとされ、アポトーシスの誘導や免疫活性化といった多面的な作用が期待されます。これらを抗がん剤と組み合わせることで、がんの三大特性すべてに“多面的”に働きかけることができるのではないかと推測しています。
何よりも、フコイダンは副作用報告が極めて少ない「食品由来の成分」であり、抗がん剤のような身体的負担を伴わずに併用できるという点が、大きな魅力であると感じています。
標準治療と対立するのではなく、“補完”する存在として、フコイダンは今後ますます重要な役割を果たしていくと私は確信しています。
>>当院での中分子フコイダン療法による臨床報告はこちら
フコイダンラボ.臨床例①:ステージⅣの肺がんの脳転移(58歳⼥性)
フコイダンラボ.臨床例②:ステージⅢCの卵巣がんの腹膜播種(62歳女性)
フコイダンラボ.臨床例③:ステージⅢCの肺がんの遠隔リンパ節転移(69歳男性)
フコイダンラボ.臨床例④:ステージⅠの皮膚がん(95歳女性)
フコイダンラボ.臨床例⑤:ステージⅢBの肺がんの再発と頸部リンパ節転移(72歳女性)
フコイダンラボ.臨床例⑥:ステージⅢBの胃がんの再発(80歳男性)
フコイダンラボ.臨床例⑦:ステージⅢAの浸潤性乳管がん(70歳女性)
まとめ
フコイダンは、がん細胞の「不死性」や「血管新生」といった本質的な性質に対して、副作用無く、多面的に作用する“可能性”を秘めた天然成分です。
とくに抗がん剤との併用においては、フコイダンはがん細胞の進行を抑えるための“足りないピース”を補うような役割を果たす可能性があります。
私は、科学的な知見と、日々の臨床で患者さんと向き合ってきた経験の両方から、フコイダンが持つ力に注目しています。
がん治療における選択肢のひとつとして、フコイダンという存在が多くの方に届き、希望となることを願ってやみません。
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