2024.04.30
がん直腸がんの症状とは?見逃されやすい初期のサインや検査方法について解説!

直腸がんは、大腸の終わりに位置する直腸に発生するがんで、便通に関わる部位にできるため、比較的はやい段階で症状が現れやすいとされています。しかし、その症状は痔や一時的な体調不良と似ているため、見逃されがちです。
この記事では、直腸がんの初期症状から進行した場合の具体的なサイン、痔やポリープとの見分け方まで、症状にまつわる情報を詳しくまとめました。早期発見のためにも、体の変化に気付くための参考情報としてご活用ください。
目次
直腸がんとは
(参照:https://www.ach.or.jp/disease/colorectal-cancer/)
直腸がんとは、大腸のうち肛門に近い部分である「直腸」に発生する悪性腫瘍です。大腸がんは結腸がんと直腸がんに分類されますが、そのなかでも直腸がんは、排便に関わる部位に生じることから、早期であっても排便習慣の変化や出血などの症状として大腸がんよりは症状が現れやすいとされています。
直腸がんの発生には、食生活や生活習慣の変化、遺伝的要因、慢性的な炎症性腸疾患などが関係しているとされていて、近年日本でも患者数が増加傾向にあります。早期に発見し治療をすれば、高い治癒率が期待できますが、進行すると肛門機能や周囲臓器への影響も出やすいため、早期の対応が重要です。
長い大腸に生じるがんのなかでも、直腸がんはそのうちの35%を占めており、比較的生じやすい大腸がんです。大腸の終わりに近づくにつれて腫瘍の発生率が上昇するのには、便をためておく時間が長いからだとも考えられています。
直腸がんの代表的な症状
直腸がんの症状は、がんの進行度や場所によって異なります。初期の段階ではほとんど自覚症状がないこともありますが、排便に関わる直腸に腫瘍ができるため、結腸がんと比較するとはやい段階で排便に関する変化が見られることが多いとされています。
初期症状
直腸がんの初期症状として多く見られるのは、排便習慣の変化です。例えば、「下痢と便秘を繰り返す」「便が細くなる」「残便感がある」といった症状があります。また、肛門に近い場所にがんがあるため、便に血が混じる、血便が出るといった出血症状も早期から現れることがあります。
これらの症状は、痔や過敏性腸症候群などの良性疾患と間違われやすく、放置されるケースも少なくありません。そのため、症状が長引く場合ははやめの受診を検討しましょう。
進行したときの症状
直腸がんが進行すると、腫瘍が大きくなって腸管を狭くし、腸閉塞のような症状(強い腹痛、膨満感、便秘の悪化)を引き起こすことがあります。また、腫瘍が周囲の臓器に浸潤すると、膀胱や子宮、前立腺との癒着による排尿障害や骨盤痛が現れる場合もあります。
さらに進行がんでは体重減少、全身の倦怠感、貧血、発熱など、全身症状が出ることもあります。こうした症状が出る頃には、治療の選択肢が限られてくることもあります。
進行しても基本的に痛みはない
直腸がんに限らず、大腸がんの初期段階では「痛み」という明確な症状が現れないのが一般的です。腸の粘膜には痛みを感じる神経がほとんど存在しないため、がんができても腫瘍の成長にともなう痛みを感じにくいです。そのため、がんがある程度の大きさになるまで、自覚症状が乏しいまま経過することもあり、発見が遅れる原因にもなっています。
実際、多くの患者さんが「便に血が混じっていた」「便の形が細くなった」「便秘と下痢を繰り返す」などの排便習慣の変化に気付いてから受診し、検査によって初めてがんが発見されるケースが見られます。
痛みが出るのは、腫瘍がかなり大きくなり腸管が閉塞するような状態になったり、周囲の臓器に浸潤してからということがほとんどです。
このように、直腸がんは進行するまで痛みをともなわないことも多いため、日常のなかで起こるわずかな変化にも敏感になり、定期的な検診を受けることが早期発見のカギとなります。
直腸がんのステージごとの症状の特徴
直腸がんはステージ(病期)が進行するにつれて、現れる症状も変化していきます。初期段階では自覚症状が乏しいため、気付かないまま進行してしまうことも少なくありません。以下に、ステージごとに見られやすい代表的な症状をまとめます。しかしながら「どのステージだからこの症状が出る」ととらえるより「どのステージでも生じる可能性はある」というのを念頭に置いておきましょう。
ステージ0〜1(早期がん)
がんが粘膜内または粘膜下層にとどまっている段階では、ほとんどの場合で自覚症状はありません。多くは健康診断や人間ドックでおこなわれる便潜血検査をきっかけに見つかります。ごく一部の患者では、便に少量の血が混じる、便の形が細くなるなど、軽微な排便の変化を感じることもあります。
ステージ2(がんが筋層を越える段階)
腫瘍が直腸の筋層を越えて浸潤し始めると、排便の異常が徐々に顕著になります。具体的には、便秘や下痢を繰り返す、便が細くなる、便に血が混ざるなどの症状が見られるようになります。腸管が狭くなることで便が通りにくくなり、違和感や不快感をともなうこともあります。
ステージ3(リンパ節転移がある段階)
この段階では腸管の狭窄がさらに進み、腹痛、残便感、排便時の痛みが出現することもあります。便に血液が混じる頻度が高まり、出血量が多くなることもあります。また、進行したリンパ節への転移が神経を圧迫すると、腰痛や坐骨神経痛のような症状が現れる場合もあります。
ステージ4(他臓器へ転移している段階)
がんが肝臓や肺などの遠隔臓器に転移すると、原発巣に由来する症状に加えて、転移先の臓器に応じた症状が出てきます。例えば、肝臓への転移では黄疸や倦怠感、肺転移では咳や息切れといった症状が見られるようになります。また、体重減少や全身の倦怠感、食欲低下といった全身症状も強くなり、QOL(生活の質)が大きく低下していきます。
直腸がんの症状はステージによって大きく異なります。症状が出たときにはすでに進行していることもあるため、早期発見のためには、症状がないうちから定期的な検査を受けることが重要です。
直腸がんと痔やポリープとの症状の違い
直腸がんは初期症状が乏しいことが多いため、痔やポリープなどの良性疾患と混同されやすい傾向にあります。しかし、それぞれの病気には見逃してはいけない違いがあるため、症状の違いを正しく知っておくことが大切です。
1.出血の特徴の違い
痔(特にいぼ痔や切れ痔)による出血は、排便時にトイレットペーパーにつく鮮やかな赤い血であることが多く、排便後にポタポタと落ちる出血が見られることもあります。一方、直腸がんでは便に血が混ざっている、もしくは便に沿って血がついているような傾向にあり、黒っぽい色や粘液状の血液が見られる場合もあります。
2.痛みの有無
痔の場合は、排便時に痛みをともなうことが多いのも特徴です。特に切れ痔では鋭い痛みをともないます。逆に、直腸がんは初期段階では痛みがほとんどなく、進行して腸管が狭くなってくると腹部の不快感や残便感として現れることがあります。
3.排便の異常の違い
直腸がんでは、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、残便感がある、排便に時間がかかるといった症状が出やすいです。これは、がんが腸の内側に広がり、物理的に便の通り道を狭めるためです。痔やポリープではこうした排便異常は少なく、出血や違和感が主な症状となります。
4.ポリープの症状
大腸ポリープは小さいうちはほとんど無症状ですが、大きくなると出血や便の異常をきっかけに発見されることもあります。基本的に、ポリープの多くは良性であり、内視鏡検査で切除することでがん化を防ぐことにもつなげられます。内視鏡検査でポリープなのか、がんなのかの判別はつけられるため、便の異常が見られたらはやい段階で内視鏡検査を検討しましょう。
痔やポリープによる出血だと思い込んでしまい、直腸がんの発見が遅れてしまうケースもあります。40歳を過ぎたら、「出血=痔」と決めつけず、便潜血検査や大腸内視鏡検査を受けることが早期発見・早期治療につながります。少しでも気になる症状があれば、はやめに消化器科や肛門科の受診を検討しましょう。
ポリープと悪性腫瘍の違いについてはこちらの記事も参考にしてください。
>>「大腸がん初期症状」に気付くために大切なことを解説!見逃しやすいサインと早期発見のポイント
直腸がんの検査方法
直腸がんの検査では、がんの有無や進行度、転移の有無を把握することが目的です。
- 便潜血検査:健康診断などで最初におこなわれるスクリーニング検査。便に混じった微量な血液を調べます。
- 大腸内視鏡検査(CF):肛門から内視鏡を挿入し、直腸の粘膜を直接観察。がんが疑われる部位からは組織を採取(生検)して確定診断します。
- 注腸X線検査(バリウム検査):造影剤を肛門から入れ、直腸の形の異常や腫瘍を画像で確認します。
- CT・MRI検査:がんの進行度(ステージ)や、リンパ節・肝臓・肺などへの転移の有無を調べます。
直腸がんの治療方法
直腸がんの治療は、がんのステージや位置、患者さんの体力に応じて選ばれます。
- 手術療法:がんを切除する根治的な治療。がんの位置によっては人工肛門(ストーマ)が必要になる場合もあります。
- 内視鏡切除:早期がんでリンパ節転移の可能性が低い場合におこなわれます。肛門から器具を入れてがんを取り除きます。
- 放射線療法:手術が難しいケースや、再発リスクを下げるために術前・術後におこなうことがあります。
- 化学療法(抗がん剤治療):再発予防や、進行・転移がんに対して全身的に治療します。
- 分子標的薬・免疫療法:進行例ではがんの特徴に応じて薬を選び、治療効果を高めます。
直腸がんの予後・生存率
直腸がんの5年生存率は、がんの進行度(ステージ)によって大きく変わります。
早期のステージ0〜1では生存率は90%以上と高く、治癒が期待できます。
ステージ2で70〜80%、ステージ3では50〜60%に下がり、
ステージ4(転移あり)では約20%まで低下します。
ただし、治療法や体力、個人差によっても変わるため、必ずしも数字的な意味合いに信頼性があるわけではありません。
直腸がんの検査方法・治療方法・予後・生存率についてはこちらの記事も参照してください。
>>直腸がんの初期症状から治療・予後・早期発見のポイントまで徹底解説
まとめ
直腸がんは、初期症状として排便習慣の変化や血便といった異常がほかの大腸がんよりも比較的現れやすいがんですが、痛みがないために発見が遅れることもあります。また、痔やポリープとの区別がつきにくく、自己判断で放置されてしまうこともあります。少しでも気になる症状があれば、便潜血検査や内視鏡検査などをはやめに受けることが、早期発見と治療成功につなげられる一助となります。直腸がんを正しく理解し、違和感を見逃さない習慣を心がけましょう。
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がんの種類を知る
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