2023.06.29
がん子宮頸がんワクチンの副作用とは?知っておきたい種類とリスク・救済制度まで解説
子宮頸がんは、20代〜40代の若年層に多く見られるがんの一つです。子宮頸がんの主な原因は、性感染症であるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。性交渉によって感染しますが、膣には自浄作用があるためほとんどの場合は自然に排出されます。
しかし、まれに長期間体内に残ることで、がんに進行するケースもあるのです。ヒトパピローマウイルスに感染してがん化する可能性を大幅に減らす手段として「子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)」の接種が日本では取り入れられています。
子宮頸がんワクチンというと、副作用や過去の報道によって不安を感じている方も多いかもしれません。この記事では正しい情報を知ることで、不安を軽減し、適切な判断ができるよう、子宮頸がんワクチンの効果や種類、副作用、接種のタイミングなどについて解説します。
目次
子宮頸がんワクチンは原因になるウイルス感染を予防する

(参照:広報誌「厚生労働」2023年5月号 特集|厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202305_00002.html)
子宮頸がんは性交渉により、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することが原因の一つです。とはいえHPVに感染したとしても必ずがんになるわけではなく、90%は自然に 体外に排出されます。運悪く何年も子宮にとどまった場合、がん化する恐れはあります。
子宮頸がんワクチンは初性交前に接種すると、対応するヒトパピローマウイルスの感染をほぼ100%防ぐ とされていています。性交渉の経験がない10代前半に打つのが有効とされていますが、性交経験があってももちろん有効です。
子宮頸がんワクチンは厚生労働省により推進→公費負担
日本では、子宮頸がんの検診が2年に1回公費負担で受けられるようになっています。子宮頸がんは自覚症状に乏しく、知らず知らずのうちに進行してしまう例も少なくありません。
比較的20代〜40代の若い世代に生じるのも特徴の一つです。もし妊娠中に子宮頸がんが発覚した場合、病状によっては母体か赤ちゃんかを選ばなくてはいけないという厳しい状況に立たされてしまうこともあります。
働き盛りの女性を救うだけではなく、新たに生まれる命を守るための一助につながるワクチンなので、WHOでも子宮頸がんワクチンの接種を推奨しています。
(※参照:https://www.who.int/activities/immunizing-against-hpv)
過去には副作用による有害事象としてセンセーショナルな報道がされ、深刻的な意見や対応がありましたが、現在では科学的に見て問題がないとの結論が出ています。
子宮頸がんワクチンの接種方法

(参照:子宮頸がんの予防のために HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン – 日本対がん協会、https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/hpv_vaccine)
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、ワクチンの種類や接種年齢によってスケジュールが異なります。現在、日本で公費接種の対象となっているのは小学6年生〜高校1年生相当の女子です。2025年現在では9価ワクチン(シルガード9)が主に使用されています。
基本的には2〜3回の接種で十分な免疫を獲得します。
男性の接種も可能
ヒトパピローマウイルスは女性だけではなく、男性の性器にもいるとされています。男性の性器にいるものが性行為によって女性にうつり、女性の半分以上は生涯のうちに感染するともいわれています。
また、ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんだけではなく、中咽頭がんや肛門がん、尖圭コンジローマなどの要因にもなります。男性の場合は任意接種にはなりますが、希望する人にはワクチン接種が可能となりました。
>>中咽頭がんとは?原因・症状・治療・予後・予防まで徹底解説
子宮頸がんワクチンの種類

(参照:「9価」のHPVワクチンが日本でも承認、どんなワクチン?|看護roo!ニュース | 看護roo![カンゴルー]、https://www.kango-roo.com/work/7552/)
子宮頸がんワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防するためのワクチンです。HPVの感染は子宮頸がんの主な原因です。予防的に接種することで、対応する型のヒトパピローマウイルスの感染をほぼ100%防げるといわれています。
日本では現在3種類のHPVワクチンが接種可能です。それぞれ有効性や対象ウイルス型、副反応の発生頻度などに違いがあります。ここでは、代表的な3種類のワクチンについて紹介します。
サーバリックス
サーバリックスは、HPV16型・18型の感染予防に特化した「2価」ワクチンです。HPV16型・18型の2つの型は、子宮頸がん全体の約65〜70%を占める 高リスク型に分類されています。
初期に承認されたワクチンで、子宮頸がん予防に加え子宮頸部異形成(がんの前段階)にも高い予防効果があるとされています。接種対象は主に10歳以上の女性で、3回接種が基本です。
ガーダシル
ガーダシルは、HPV16型・18型に加え、尖圭コンジローマの原因となる6型・11型 にも対応した「4価」ワクチンです。子宮頸がん予防だけでなく、性感染症の予防効果も期待できます。日本国内で広く使用されており、男性への任意接種も承認されています。
シルガード
シルガード9は、現在もっともカバー範囲が広い「9価」ワクチンです。HPV16型・18型・6型・11型に加え、31・33・45・52・58型の合計9型を予防対象としています。子宮頸がんの原因となるHPV型の約90%をカバー するとされ、より高い予防効果が期待できます。
子宮頸がんワクチンの主な副作用
ワクチンは、効果・メリットだけでなく、接種後に体にどのような反応が起こる可能性があるかを理解しておくことも大切です。HPVワクチンで生じる副作用は、一般的に軽く一過性ですが、なかにはまれに生じる重い副作用も報告されています。
接種前に「どのような症状が起こりやすいか」「注意すべき症状は何か」を知っておきましょう。以下に、頻度の高い副作用からまれなものまで、厚生労働省など公的機関も挙げる“起こりうる反応”を分類して紹介します。
接種部の痛み・腫れ・発赤(50%以上)
HPVワクチン接種後、もっともよく報告されるのが「注射部の痛み」「腫れ」「赤み」「かゆみ」といった局所反応です。日本国内の情報でも、接種部の疼痛や発赤、腫脹が50%以上の頻度で報告されています。
基本的にはこれらの症状はほとんどが数日以内に自然におさまり、多くの場合はワクチン接種のあとに起こりうる反応とみなされています。
腫脹、紅斑、かゆみ、関節痛、頭痛など(10~50%)
注射部位以外にも、やや頻度の高い副作用として、腫れや紅斑、かゆみ、関節痛・筋肉痛・頭痛・倦怠感・発熱などが、接種後数日〜数週間のうちに生じると報告された例もあります。基本的にはこれらの症状も多くは軽度で、数日から1週間程度で改善するケースが大半です。
比較的まれな副作用
さらに頻度は下がるものの、めまい・吐き気・倦怠感・関節・筋肉の痛みやこわばり・知覚異常(しびれなど)なども報告されています。まれな副作用ではありますが、症状が長引く、または普段と異なる強さで現れる場合には医療機関への相談を検討しましょう。
ごくまれだが重篤な副作用
HPVワクチンでは非常にまれなものとして、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)、神経系の障害(ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎など)、血小板減少性紫斑病などが報告されたこともあります。
実際に「頻度が極めて低い」だけではなく、現在の調査結果では「ワクチンとの因果関係は明確でない」などともいわれています。安全性を評価する公的報告でも慎重に扱われている実態があります。
いずれにしても厚生労働省を含む専門機関は、接種後に体調異変があれば遠慮せずに医療機関で相談・経過観察を受けるよう呼びかけています。
過去に過熱した副作用の報道について

子宮頸がんワクチンは、2010年に接種促進事業として政府が補助金を出し、9割の公費負担で始まりました。そのあとワクチン無料化になるとともに、子宮頸がんの怖さやワクチン接種を呼びかけるCMなども放映され、子宮頸がんの認知度は一気に高まりました。あわせて子宮頸がんワクチンの接種率も急上昇した背景があります。しかしそのなかで、数々の副作用の報告が上がり、2013年6月厚生労働省は一時的に積極的な推奨を中止しました。
日本では、センセーショナルにニュースでも取り上げられ、副作用報告について激しく報道機関が放映しましたが、実は取り上げたのは世界中で日本だけでした。
何らかの副作用症状があった少女たちが集団で国と製薬会社を相手に一斉に提訴したことなども、報道として放映されたことが記憶に残っている方もいるかもしれません。
このような事態をきっかけに、厚生労働省は研究班を立ち上げ、ワクチンの副作用との因果関係を調査し始めました。
厚生労働省の見解|科学的な因果関係は見つけられなかった
厚生労働省の調査研究の結果、ワクチン接種の後遺症とされていたさまざまな症状は科学的な因果関係が証明できないとされ、ワクチン接種が原因とは限らないという結論に至りました。そのため2022年4月より、HPVワクチンとして子宮頸がんワクチンを新たに推奨するようになっています。
子宮頸がんにかかるリスクと、予防接種により後遺症が残るリスク
子宮頸がんとHPVワクチンをめぐる「どちらのリスクが大きいのか」という疑問に対して、国内外にさまざまなデータが示されています。
子宮頸がんにかかる生涯リスクは約1%、死亡リスクは約0.3%とされる一方で、ワクチンによる重い副反応(アナフィラキシーなど)は96万人接種に1人以下と極めてまれです。
後遺症が医学的に因果関係まで確認された例も、統計上ほとんどありません。つまり「がんのリスクはワクチンの副作用リスクを大きく上回る」というのが現在のところの世界的な医学的評価です。
国内外の複数の調査で、重い副作用の症状とワクチンの因果関係は確認されておらず、ワクチンの恩恵がリスクを上回るとする専門機関の見解が見られています。
ワクチン接種の判断にあたっては、子宮頸がんのリスクとワクチンの安全性および副反応の可能性を理解したうえで自身の価値観や健康状態を踏まえて、慎重に検討することが重要といえるでしょう。
厚生労働省|予防接種救済制度
ワクチン接種後、ごくまれではありますが「健康被害」が起きた場合、その救済のために設けられているのが「予防接種健康被害救済制度」です。
予防接種健康被害救済制度は、ワクチン接種と健康被害との因果関係が、専門の審査会によって認定されれば、医療費の補助や障害年金、死亡一時金などの給付を受けられます。
請求の窓口は、ワクチン接種時に住民票を登録していた市町村となり、定期接種・臨時接種のどちらも対象です。
ワクチンの恩恵を受けつつも、万が一の健康被害に備えるためにも制度の存在を知っておくとよいでしょう。
性交後の接種の有用性
子宮頸がんワクチンは、性交渉の経験がないうちに接種することでHPV感染のリスクを大きく下げる効果が期待できます。とはいえ、すでに性交渉の経験がある方でも「すべてのHPV型に感染しているとは限らない」ため、接種がまったく無意味になるわけではありません。
ワクチンは複数のHPV型に対して予防効果があるため、将来的な感染を防ぐ意味で、性交後でも接種のメリットはあります。若年層であればなおさら効果が期待できます。接種時期が遅れても、医師と相談のうえで検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
まとめ
子宮頸がんは、早期であれば治療も可能ながんです。とはいえ、初期には自覚症状が乏しく、気付いたときには進行しているケースも少なくありません。HPVワクチンの接種は将来的な子宮頸がんの発症リスクを大幅に下げる有効な手段として、国内外で広く推奨されています。
たとえ性交渉の経験があったとしても、接種には十分な意味があり、副反応についても大半は一過性であることがわかっています。自分自身の健康を守るとともに、将来の妊娠・出産に向けた備えとして、ワクチン接種を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。正しい知識をもとに、最適な選択を自分の意思でしていくことが大切です。
>>子宮頸がんの初期(ステージ0・1)の症状や治療法について解説!余命を伸ばすための方法とは
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
がんの種類を知る
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