2022.01.31
がんがんとアポトーシスとの関係
目次
アポトーシスとは?
アポトーシス(apoptosis)とは、細胞が死ぬときのひとつの形態のことで、プログラムされた細胞死(programmed cell death)とも呼ばれるように、あらかじめ遺伝子に組み込まれ、予定された細胞死のことです。
アポトーシスは、生体がいい状態を保つために、必要のない細胞や異常な細胞を除去するための積極的な細胞死であり、個体の発生、臓器形成、成長、老化、感染細胞の除去、あるいはがん抑制などに重要な役割をはたしています。例えば、成体において役目を終えた細胞、ウイルスなど病原体が感染した細胞、がん細胞(あるいは、がん化するおそれがある異常な細胞)などの有害な細胞は、アポトーシスによって取り除かれています。
そもそも細胞死とは?
人の体内では、毎日多くの細胞が細胞死により排除されています。ただ、その死に方には色々な形態があります。このうち、代表的なものは、ネクローシス(壊死)とアポトーシスです。ネクローシスが偶発的で受動的な死(いわゆる事故死)であるのに対して、アポトーシスはプログラムされた能動的な死(いわゆる自死)といわれています。どちらも細胞死に変わりはありませんが、その誘因、形態、制御機構、分子メカニズムは大きく異なります。
アポトーシスのメカニズム
アポトーシスは、様々な刺激によって誘発され、一連の遺伝子および細胞内のシグナル伝達により複雑に制御されており、形態的には以下のように進行していきます。
まず、細胞膜の構造に変化がおこり、細胞が膨張して突起物の形成がみられます(ブレビング)。核ではDNAの断片化と凝集が起こり、クロマチンが濃縮されます。やがて、複数のアポトーシス小体と呼ばれる細胞外小胞が形成されます。最終的に、このアポトーシス小体がマクロファージ(白血球の一種である食細胞)に貪食されることで、細胞は消失します。
アポトーシスとネクローシスとの違い
細胞死には、代表的なものとして、ネクローシスとアポトーシスがあります。
ネクローシスは、栄養不足、毒物、外傷などの外的環境要因によって起こります。ネクローシスの形態的特徴として、細胞核をはじめとする細胞内小器官を構成する膜の崩壊、細胞の膨化、細胞膜の破壊などがあります。
一方で、アポトーシスは、薬剤(抗がん剤など)や放射線による DNAの損傷、増殖因子の枯渇など、さまざまな要因により誘導されます。アポトーシスの形態的特徴は、細胞の収縮、染色体の凝縮、核の断片化などがあります。
また、細胞の内容物が流出して周囲に炎症を引き起こすネクローシスと違い、アポトーシスでは細胞膜が保たれるために内容物の流出が起こらないため、周囲の組織に炎症を伴わないとされています。
アポトーシスの分子機構について
アポトーシスには内因性経路と外因性経路の2つの経路があります。このうち内因性経路は、細胞ストレス(小胞体ストレス)、DNA損傷、成長因子の欠乏、ROSレベルの増加、分裂中の細胞不良などによって活性化され、外因性経路は、他の細胞からの細胞外デスシグナルの検出を介して活性化されます。
内因性アポトーシスは、ミトコンドリア関連BCL-2ファミリーに属するタンパク質であるBAX(BCL2-associated X protein)とBAK(BCL2 antagonist/killer)によって促進されます。これらのタンパクが、ミトコンドリア外膜透過性 (MOMP:Mitochondrial Outer Membrane Permeability) の変化を誘導し、ミトコンドリアからシトクロムcが放出されます。その後、遊離したシトクロム cは、Apaf-1とともにアポソームと呼ばれる複合体を形成します。
外因性アポトーシスは外部の刺激によって誘導されるアポトーシスであり、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor: TNF)レセプターやFasレセプターなどの受容体に、それぞれの細胞外リガンド(TNF-αおよびFasリガンド:FasL)が結合することで、アポトーシスの実行シグナルが入ります。
内因性、外因性のアポトーシス経路は、いずれも最終的にカスパーゼ(システインプロテアーゼ)経路の活性化につながります。まずは、イニシエーターカスパーゼと呼ばれるカスパーゼ(カスパーゼ-2、-8、-9、-10)が活性化され、これらのイニシエーターカスパーゼは、次に下流のエフェクターカスパーゼ(カスパーゼ-3、-6、-7)を切断し、活性化します。活性化されたエフェクターカスパーゼは、標的細胞タンパク質を切断してアポトーシスが実行されます。
アポトーシスの研究方法について
アポトーシス特有の現象の代表的な検出法には、細胞膜の変化およびDNAの断片化を検出する方法やカスパーゼ活性を測定する方法などがあります。
細胞膜の変化
正常な細胞では、細胞膜の外膜と内膜とではリン脂質の分布は非対称であり、リン脂質の一つであるフォスファチジルセリンは内膜のみに存在します。ところが、アポトーシスを起こしている細胞では、外膜にフォスファチジルセリンが露出されます。アネキシンV(Annexin V) は フォスファチジルセリン に対して強い親和性を示すため、アポトーシス初期の細胞膜外側に分布するフォスファチジルセリンを検出することができます。ただ、アネキシンVの標識ではアポトーシスの細胞だけでなくネクローシスの細胞も陽性になることより、ネクローシス細胞のみを染色するヨウ化プロピジウムを併用することでアポトーシス細胞だけを検出することができます。
DNA断片化
アポトーシスが進行している細胞では、細胞質にヒストン複合型DNA断片が存在します。このDNA断片は、アガロースゲル電気泳動において典型的なラダーパターンが見られるため、これをアポトーシスの指標とすることができます。
また、組織や単一細胞においてアポトーシスを調べるためには、断片化したクロマチンDNAを検出するTUNEL(Terminal deoxynucleotidyl transferase [TdT]-mediated dUTP Nick End Labeling)法という手法が用いられます。
アポトーシスの初期段階ではDNA断片化が起き、遊離3’-OH基が生じます。TUNEL 法では、TdT(Terminal deoxynucleotidyl transferase)という酵素を用いて、DNA の開裂により生じた 3'-OH 基に ブロモデオキシウリジン(BrdU)を付加します。このBrdUを蛍光顕微鏡やフローサイトメトリーで検出することで、アポトーシス細胞を検出することができます。
カスパーゼの活性化検出
アポトーシス実行のシグナルとなるカスパーゼの活性化を検出する方法には、抗体を用いる方法とカスパーゼの基質を用いる方法があります。抗体を用いる方法では、未切断の前駆体もしくは切断後の活性型を検出できる抗カスパーゼ抗体により確認することができます。またカスパーゼの基質を用いる方法では、活性型カスパーゼと不可逆的に結合するプローブを用いることにより、フローサイトメーターや蛍光顕微鏡で活性型カスパーゼを検出することができます。
まとめ
アポトーシスは、プログラムされた能動的な細胞死であり、薬剤(抗がん剤など)や放射線による DNAの損傷、小胞体ストレス、増殖因子の枯渇など、さまざまな要因により誘導されます。アポトーシスには内因性経路と外因性経路の2つの経路があり、最終的にカスパーゼ経路が活性化されることで実行されます。アポトーシスには、細胞の収縮、染色体の凝縮、核の断片化などの特徴があり、これらを検出する方法で研究が進んでいます。
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