2025.11.27
がん子宮頸がんの原因を医学的に解説|HPVの持続感染とその他のリスク因子
子宮頸がんは、子宮の入り口である「子宮頸部」に発生するがんで、多くはヒトパピローマウイルス(以下:HPV)の持続感染が原因とされています。HPVは非常に身近なウイルスで、性交経験のある女性の多くが一度は感染するといわれています。とはいえ、感染しただけでがんになるわけではありません。多くの場合は免疫の働きによって自然に排除され、がん化には至りません。
一方で、ウイルスが排除されず長期間子宮頸部にとどまる「持続感染」が起こると、細胞の異常が進行し、前がん病変を経て子宮頸がんへと進展することがあります。また、子宮頸がんの発症にはHPV以外にも、免疫力の低下や喫煙、他の性感染症など、複数のリスク因子が関わっていることもわかっています。
この記事では、子宮頸がんの中心的な原因であるHPV感染と、その他の発症リスクについてわかりやすく解説します。
※子宮頸がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>子宮頸がんとは?その症状と治療法について
目次
子宮頸がんとは
子宮頸がんは、子宮の入り口の部分「子宮頸部」にできるがんです。子宮頸がんのタイプは、扁平上皮がんと腺がんに大別されます。子宮頸がんの原因の多くは、HPVの持続感染によって起こります。初期の段階では特徴的な症状はなく、ある程度進行すると性交時の出血症状などが、自覚症状として現れ始めます。
子宮頸がんは以前は扁平上皮がんが圧倒的に多かったのですが、近年では腺がんも増加していて、約20%程度を占めるようになってきています。腺がんは扁平上皮がんと比較すると、比較的治療が難しいがんです。
子宮頸がんの原因
子宮頸がんの発症にはさまざまな要因があります。現在もっとも主要な原因として明らかになっているのが、HPVの持続感染です。
HPVは非常にありふれたウイルスで、性交経験のある女性の多くが一度は感染するといわれています。しかし、感染しただけで子宮頸がんになるわけではありません。感染したとしても基本的には免疫の働きによって自然に排除され、がん化には至りません。実際、90%以上は免疫力により自然に排除されるので、HPVの持続感染が起こりがんに進行するのはごく一部です。
子宮頸がんの原因にはHPV以外にも、免疫力の低下、喫煙、他の感染症など、発がんリスクを高める要因が複数存在します。ここでは、子宮頸がんのおもな原因であるHPV感染と、その特徴について詳しく解説します。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“子宮頸がんは性行為だけが原因ではない|HPV陰性例や性行為以外のリスクを医師が解説”
HPVの持続感染
子宮頸がんの主要な発生原因のHPVが排除されず長期間にわたり子宮頸部にとどまる「持続感染」が起こると、細胞の異常が進行し前がん病変からやがて子宮頸がんへと進展することもあります。
HPV「持続感染」こそ、子宮頸がん発症のトリガーであることが近年の研究で明らかになり、ワクチンやHPV検査の開発につながっています。
HPVとは
HPVには150種類以上の型があります。そのうち約数十種類が子宮頸がんの発生と関わりがあると考えられています。特に、16型や18型はハイリスク型HPVと呼ばれていて、子宮頸がんの多くの要因になるタイプのHPVです。また、16型・18型に続き52型、58型、33型、31型、35型も比較的子宮頸がん発症につながりやすいタイプのHPVです。なかでも、子宮頸がんの腺がんの発生要因には、18型が多いとされています。
HPVの持続感染率

(参照:厚生労働省「HPVワクチンについて知ってください」、https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000901220.pdf|P3)
HPVの感染は、多くは性交渉により感染します。近年、初性交の低年齢化にともない、子宮頸がんの発症も若い女性に急増しています。
HPVは比較的身近にいるウイルスで、性交経験のある女性の84.6%が生涯のうちに一度は感染するともいわれています。HPVの持続感染率は10%程度といわれており、3年以上の持続感染がみられると子宮頸がんの発症が高まるとされています。
基本的にHPVは90%以上排泄される
ハイリスク型のHPVの感染率は高めでありながらも、感染した女性すべてが子宮頸がんになるわけではありません。基本的にHPVに感染したとしても、免疫の働きにより自然に体内から排除され、短期間の感染で済むのが一般的だからです。しかし、免疫の働きがうまくいかず、子宮頸部にHPVが長期間感染し続ける「持続感染」が起こると、細胞の変化を引き起こす要因となります。
一般的にはHPVに感染したとしても、90%以上は2年も経過すると自然に排除されます。何らかの要因によりHPVが子宮頸がんに留まり、10年以上経過すると前がん病変やがん細胞へ変化するといわれています。
HPV感染以外の要因・なりやすい人

子宮頸がんの発症にはHPVの持続感染が大きく関わっていますが、HPV感染以外にも、発症リスクを高めるとされるいくつかの要因が知られています。性行為以外の要因を知っておくことで、予防への意識を高めることができるでしょう。
免疫力低下
免疫力が低下している状態では、体内に侵入したHPVを排除する力が弱まり、持続感染につながりやすくなると考えられています。
ストレス、睡眠不足、栄養状態の偏り、慢性疾患など、免疫機能に影響を与える要因はさまざまなものがあります。
他の性感染症への罹患
クラミジア感染症などの他の性感染症を併発している場合、子宮頸部の炎症が長期間続きHPVの持続感染を助長する可能性があります。
性感染症は自覚症状がはっきりしないこともあり、気付かないうちに炎症が慢性化しているケースも少なくありません。性感染症の予防や早期発見・早期治療は子宮頸がんのリスク低減にもつなげられます。
喫煙
喫煙は子宮頸がんのリスク因子です。タバコに含まれる有害物質が、血流に乗って全身の細胞にダメージを与えます。喫煙者ではHPVの持続感染率が高いという報告もあります。
ピルの長期服用
経口避妊薬(ピル)の長期使用が子宮頸がんのリスクを高めることがわかっています。とはいえピルの使用は女性にとってメリットも大きいのも事実です。子宮頸がんのリスクが気になるものの、ピルの使用を検討する際は医療機関で相談することが望ましいでしょう。
出産回数
出産回数が多いことも子宮頸がんの発症リスクが高まるとみられています。性交の機会が多いことが関係していると考えられるためです。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“子宮頸がんは性行為だけが原因ではない|HPV陰性例や性行為以外のリスクを医師が解説”
子宮頸がんの症状
子宮頸がんは初期の段階では自覚症状がほとんどなく、症状が現れたときにはある程度進行していることも少なくありません。症状の特徴を知っておくことは、早期受診のきっかけの一つになるでしょう。
初期症状
初期の子宮頸がんは、ほとんどの場合無症状です。初期段階で発見できれば治癒の可能性が高く、体への負担も少ないです。症状がないからといって安心するのではなく、定期的な子宮頸がん検診を受ける意識を持ちましょう。検診によって、症状が出る前の段階で異常を発見できる可能性があります。
進行症状
子宮頸がんが進行してくると、以下のような症状がみられることがあります。
- 性交時の出血
- おりものの増加や異常なにおい
- 不正出血(生理以外の出血)
- 下腹部の痛みや腰痛
子宮頸がんの進行した症状は、子宮頸がん以外の疾患でも起こります。他の疾患と見分けるためにも症状がある場合は、早めに婦人科を受診を検討することが大切です。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“子宮頸がんの手術とは?術式の種類・適応・後遺症まで徹底解説”
子宮頸がんの治療

子宮頸がんの治療は、がんの進行度(ステージ)や年齢、妊娠の希望などによって変わってきます。一般的な治療として、より発見が早いほど手術で完治が目指せますが、進行するほど治療の選択も難しくなってきます。ステージⅡまでは手術適応になりますが、ステージⅢ以降になると放射線治療、化学療法などを組み合わせて治療をすすめるのが一般的です。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“子宮頸がんの手術とは?術式の種類・適応・後遺症まで徹底解説”
子宮頸がんの予防
子宮頸がんは全身に発症するさまざまながんのなかでも珍しく「予防できるがん」といわれています。予防の柱となるのは、HPVワクチンと定期的な子宮頸がん検診です。
- HPVワクチン:ハイリスク型HPVの感染を予防し、将来的な子宮頸がんの発症リスクを大きく下げることが期待できます。
- 子宮頸がん検診:症状が出る前の段階で異常を発見できるため、早期治療につながります。
他にも、発がんリスクを下げるための禁煙や性感染症の予防などもリスク低減に役立ちます。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>“子宮頸がんワクチンの副作用とは?知っておきたい種類とリスク・救済制度まで解説”
まとめ
子宮頸がんは、HPVの持続感染が主要な原因であることが明らかになっていますが、発症の背景には免疫力の低下や喫煙、他の性感染症など、HPV以外の要因も複雑に関わっています。HPVは非常に一般的なウイルスです。感染そのものを完全に避けることは難しいものの、持続感染を防ぐためには免疫力を保つ生活習慣や、性感染症の予防が重要です。
子宮頸がんは「予防できるがん」であり、HPVワクチンと定期的な子宮頸がん検診によって発症リスクを大きく下げることができます。症状が出にくいがんだからこそ、正しい知識を持ち、早期発見・予防のための行動をとることが自分の健康を守ることにつながるはずです。
近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。
なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。
フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。
それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。
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>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果
>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。
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