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過活動膀胱とフコイダン|頻尿・夜間尿に悩む方へ、新しい可能性

過活動膀胱

「トイレが気になって、ぐっすり眠れない」「突然の尿意で外出が不安になる」——
そんな日常に、心当たりはありませんか?

それは「過活動膀胱(OAB)」と呼ばれる状態かもしれません。
実はこの症状、神経や炎症の影響が関係していることがわかってきています。

この記事では、過活動膀胱の仕組みをわかりやすく解説しながら、
海藻由来の天然成分「フコイダン」がもつ可能性について、医師の視点からご紹介します。

日置医院長

この記事の執筆者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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過活動膀胱とは?

「急にトイレに行きたくなる」「間に合わないかもと焦る」「夜中に何度も目が覚める」——。
そんなお悩みを抱えていませんか?

こうした症状が続いている方は、「過活動膀胱(OAB)」という状態かもしれません。
これは、膀胱が尿をためる働きにうまくブレーキがかからず、尿がそれほど溜まっていないのに強い尿意を感じてしまう状態です。

高齢の方に多いと思われがちですが、実は若い女性にも珍しくなく、恥ずかしさや不快感から日常生活の質(QOL)を大きく損なってしまうことがあります。
「年のせいだから」とあきらめず、まずは原因を知ることが大切です。

なぜ頻尿や切迫感が起きるのか?

過活動膀胱の原因は、ひとつではありません。
いくつかの要素が複雑に絡み合い、尿意のコントロールが難しくなってしまうのです。

主に次のような原因が考えられています。

  • 膀胱の過敏化(知覚神経の興奮)
  • 膀胱壁の慢性炎症
  • 膀胱筋の不随意収縮
  • 膀胱壁の血流不足や虚血
  • 加齢に伴う酸化ストレスと組織硬化

これらの影響で、尿が少ししか溜まっていなくても、「今すぐトイレに行きたい」と強く感じてしまうのです。

慢性炎症と神経過敏という視点

最近の研究では、こうした過活動膀胱の背景に、「見えない炎症」や「神経の過敏化」が関係していることがわかってきました。

たとえば、膀胱の壁では、IL-6TNF-αといった炎症性サイトカインが増加※1していたり、サブスタンスP神経成長因子(NGF)といった神経を刺激する物質が蓄積※2していたりすることが報告されています。

これらの物質が神経を興奮させることで、ちょっとした刺激でも「トイレに行きたい」と感じてしまう状態を引き起こすのです。
つまり、OABは単に「膀胱の筋肉の問題」ではなく、神経や炎症が関係する病気と考えられるようになってきています。

【参考文献】
※1 Comparing Concentration of Urinary Inflammatory Cytokines in OAB (2022)

※2 Urinary NGF in Women with OAB (2010) /
 Substance P via NK-1 Receptor Facilitates Hyperactive Bladder (2003)

フコイダンの可能性

そんな過活動膀胱に対して、私が注目しているのが「中分子フコイダン」です。
フコイダンは、モズクやメカブなどの海藻に含まれるぬめり成分の一種で、自然由来の多糖類として知られており、様々な健康作用が期待されています。
なかでも「中分子フコイダン」は、体への吸収効率とフコイダン特有の立体構造を両立した理想的なフコイダンではないかと注目を集めています。

フコイダンの働き OABへの期待される影響
抗炎症作用(IL-6・TNF-αの抑制) 膀胱の慢性炎症を和らげ、切迫感の軽減に
抗酸化作用 膀胱の老化や酸化ストレスを抑える
神経刺激物質の抑制(サブスタンスPなど) 神経の過敏化を抑えることで尿意のコントロールに寄与
NO(一酸化窒素)産生促進 膀胱の血流を改善し、虚血による不快感を軽減
TGF-βの抑制作用 膀胱壁の硬化を防ぎ、柔軟性を保つ可能性
【参考文献】
・抗炎症作用(IL-6・TNF-αの抑制):

Anti-Inflammatory Mechanisms of Fucoidans (2021)

・抗酸化作用:

Immunomodulatory and Anti‑Inflammatory Effects of Fucoidan (2020)

・神経刺激物質の抑制(サブスタンスPなど):

Bifunctional effects of fucoidan on the expression of iNOS (2015)

・NO(一酸化窒素)産生促進:

Low-molecular-weight fucoidan protects endothelial function (2014)

・TGF-βの抑制作用:

Anti‑Inflammatory Effect of Fucoidan from Costaria costata (2022)

実際の診療現場から

私の診療経験において、がん予防を目的に中分子フコイダンを取り入れていた患者さんから、これまで思わぬ変化の声をいただくことが複数ありました。

  • 「夜中のトイレの回数が激減した」
  • 「日中も、トイレのことを気にしすぎずに過ごせるようになった」
  • 「頻尿が軽くなった」

とくに高齢の女性では、中分子フコイダンの摂取を始めてから2週間ほどで、夜間尿が軽くなったと実感するケースもありました。

中分子フコイダンはこれまで特段の副作用も認められておらず、日常生活に習慣として取り入れやすいという点でも、多くの方にとって試す価値があると感じています。

【参考記事】

>>そもそも、フコイダンについてもっと詳しく知りたい方はこちら

>>なぜ、「中分子フコイダン」が理想的なフコイダンの形態なのかを知りたい方はこちら

医師としての考え

過活動膀胱は、「筋肉」だけの問題ではなく、炎症・神経・血流・加齢など、さまざまな要因が関わる複雑な病気です。

中分子フコイダンは、そうした複数の要因に一度にやさしく働きかけられる可能性があるという点で、私自身も注目しています。
あくまでこれは私の診療経験と科学的知見から導かれた仮説的見解であり、当然ながらすべての方に効果を保証する類のものではありません。

しかしながら、中分子フコイダンは有用な選択肢の一つとなる可能性が十分にあると感じています。
今後のさらなる研究の進展に期待したいと思います。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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