2025.02.27
がん白血病の原因と食べ物の関係は?発症リスクを下げる生活習慣はあるの?

白血病は、血液や骨髄の細胞が異常に増殖する病気であり、その原因は遺伝的要因や環境的要因など、複数の要素が絡み合っています。
「特定の食べ物が白血病の直接的な原因になるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、現時点で特定の食品が白血病を引き起こす、または予防するという科学的な証拠は確立されていません。
しかし、健康な体を維持し、がん全般のリスクを抑えるためには、栄養バランスの取れた食生活が重要です。
本記事では、白血病と食べ物の関係について詳しく解説し、健康的な食生活のポイントについても紹介します。
目次
白血病の原因
結論から言うと、ほとんどの白血病は原因不明です。
白血病は骨髄で作られる血液細胞の遺伝子が傷つき発症すると考えられています。
一部の白血病では染色体や遺伝子の異常が見つかり、分子標的薬などの薬剤の開発にも役立てられていますが、すべての白血病の遺伝子や染色体の異常が解明されているわけではありません。
白血病の要因となる食べ物
つまり、同じように白血病の要因になりうる食べ物も現在のところわかってはいません。
大腸がんや胃がんのように、消化器系のがんであればある程度の因果関係も判明していますが、血液のがんである白血病と食べ物の影響の有無もはっきりしていません。
加工肉と発がんリスク
(参照:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/9169.html)
一方で、白血病に限ったことではなく、すべてのがんに共通していえることですが、加工肉は明確に発がんとの因果関係が示唆されています。
IARCによる発がん性のある食べ物の分類
(参照:https://www.karadacare-navi.com/foods/19/)
- グループ1(発がん性がある)
- グループ2A(おそらく発がん性がある)
- グループ2B(発がん性の可能性がある)
- グループ3(発がん性について分類できない)
発がん性が確実に認められているもの(例:加工肉(ベーコン・ソーセージ・ハム)、アルコール、喫煙、アスベスト)
ヒトでの証拠は限られているが、動物実験では発がん性が確認されているもの(例:赤肉(牛肉・豚肉・羊肉)、高温調理された食品(焼きすぎた肉・揚げ物)
限られた証拠があり、発がん性が示唆されているもの(例:コーヒー、携帯電話の電磁波、ガソリンの排気ガス)
十分な証拠がないため、発がん性の有無が明確でないもの(例:緑茶、人工甘味料(アスパルテーム))
※グループ4はがんとの因果関係が証明されていないグループです。
IARCの分類によると、白血病との直接的な関連が指摘されている食べ物はありません。しかし、グループ1や2Aに分類される食品(加工肉や赤肉)を過剰に摂取すると、がんの発症リスク全体が高まる可能性があることもわかっています。
「コーヒー」と白血病リスクの可能性
(参照:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8075.html)
日本の疫学研究(JPHC研究)によると、コーヒーを日常的に飲む習慣が、特定のタイプの血液疾患である骨髄異形成症候群(MDS)のリスクを低下させる可能性があることが報告されています。
この研究は、日本全国9つの地域で40〜69歳の男女約9万5千人を対象に約18年間にわたる追跡調査をおこない、コーヒーの摂取頻度とMDS・急性骨髄性白血病(AML)の発症リスクとの関連を分析しました。
その結果、男性において1日1杯以上のコーヒーを飲む習慣があるグループは、コーヒーを飲まないグループと比べてMDSの発症リスクが約0.47倍に低下していたことがわかりました。
つまり、コーヒー摂取がMDSの予防につながる可能性が示唆されたということです。
しかし一方で、コーヒーの摂取とAML(急性骨髄性白血病)のリスク低下には明確な関連は認められませんでした。
直接的な白血病とコーヒーの因果関係は、この研究では明らかにされていませんが、MDSの一部が急性骨髄性白血病に移行することから、白血病を意識したときに摂取を検討したい飲料の一つになるといえるかもしれません。
また、女性に関しては、MDSやAMLの発症者数が少なかったため、コーヒー摂取と白血病リスクとの関連性について明確な結論をえることはできませんでした。
研究の詳細なメカニズムはまだ解明されていませんが、コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールなどの抗酸化成分が、血液細胞の異常な増殖を抑制する可能性があると考えられています。
はっきりとわかっている白血病の原因
さまざまな種類がある白血病のうち、唯一はっきりとした原因がわかっているのが成人T細胞白血病・リンパ腫です。
この病気は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)というウイルスの感染が原因で発症する白血病です。
HTLV-1の感染
HTLV-1は、主に母乳より母から子に感染するウイルスで、その感染者は日本では南九州から沖縄地方に高い頻度で存在します。
このウイルスに感染しているかどうかは、血液中のHTLV-1に対する抗体の有無を調べることで判明します。
HTLV-1抗体陽性者(キャリア)の発症確率
HTLV-1抗体陽性者(キャリア)の大部分は、成人T細胞白血病・リンパ腫を発病することなく生涯を終えますが、40歳以上のキャリアでは年間1000人1人の割合で発病するというデータもあるようです。
HTLV-1キャリアの方で、成人T細胞白血病リンパ腫の発病率は約5%と推定されています。
HTLV-1に感染するのは母乳を飲む時期ですが、この病気が発病するまでには通常50年以上という非常に長い時間を要するため、患者さんは50歳以上の高齢者が大部分を占めています。
被ばく
放射線被ばくは白血病の発症リスクを高める要因の一つとなることがわかっています。
広島・長崎の原爆被ばく者を対象とした疫学調査によると、白血病は被ばく後2年ほどで発症し始め、6~8年後にピークに達し、その後減少することが確認されました。
平均200mGyの被ばくを受けた場合、白血病の発症リスクは約1.5倍に増加すると計算されています。
特に子どもは成人の2〜3倍の影響を受けやすく、骨髄や甲状腺、皮膚、脳などで発がんリスクが高まるとされています。
被ばく量が多いほど白血病の発症率は上昇し、100mGy以上の被ばくでは統計的にリスクの増加が確認されました。
一方で、医療被ばく(X線検査やCT検査など)は非常に低線量であり、白血病のリスクを大幅に上昇させるものではありません。
一般的な胸部X線撮影の被ばく線量は0.1mGy程度、CT検査でも数mGy〜十数mGy程度であり、白血病リスクが上昇することが確認されている100mGy以上の被ばくとは大きな差があります。
医療被ばくは診断や治療に必要な範囲で安全に管理されており、過度に心配する必要はないとされています。
白血病予防と食生活
白血病は遺伝的要因や環境要因、放射線被ばくなど複数の要素が関与すると考えられていますが、特定の食べ物が白血病を予防したり、逆に発症リスクを高めたりすることを明確に示す科学的根拠はありません。
現時点では、「これを食べると白血病を防げる」といった食品は存在しないのが実情です。
白血病予防につなげる基本は「バランスのよい食事」
白血病の直接的な予防策は明確になっていませんが、がん全般の発症リスクを抑えるためにはエネルギー、タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが重要です。
特に、免疫機能の維持に関与するビタミンA・C・E、亜鉛、鉄分、抗酸化作用を持つポリフェノールを含む食品を取り入れることが、健康維持につながると考えられるでしょう。
また、国際がん研究機関(IARC)や世界保健機関(WHO)による報告では、がんリスクを高める要因として、高肥満度指数(BMIが高いこと)、青果物の摂取不足、運動不足、喫煙、過度な飲酒の5つが挙げられています。
これらの要因は白血病を含むがん全般の発症リスクを増大させる可能性があるため、生活習慣の見直しが重要です。
白血病リスクを抑えるために意識したい食生活
特定の食品で白血病を完全に防ぐことはできませんが、日常的にバランスの取れた食生活を送ることでがん全般のリスクを下げ、健康を維持のサポートにすることが期待できます。
食事だけでなく、適度な運動やストレス管理も併せて意識しましょう。
- 加工食品や過剰な塩分・糖分を控える
- 野菜や果物を積極的にとる
- 適度なタンパク質を摂取する
- 適度な飲酒・禁煙を心がける
加工肉や高脂肪食品の摂取を控え、自然な食品選びを意識しましょう。
抗酸化作用のあるビタミンCやβカロテンを含む食品(緑黄色野菜、柑橘類など)は健康維持に役立ちます。
魚や鶏肉、大豆製品など良質なタンパク質を適量摂ることで、体の回復力や免疫力を保つサポートとすることができます。
アルコールやタバコはがん全般のリスクを高めるため、過剰摂取は控えましょう。
まとめ
現時点では、特定の食べ物が白血病の直接的な原因となる、あるいは完全に予防するというエビデンスはありません。
しかし、がん全般のリスクを抑えるためには、バランスのよい食事を心がけることが重要です。
加工食品や過剰な塩分・糖分を控え、新鮮な野菜や果物、良質なタンパク質を適度に摂取することで、体の免疫力を維持し健康的な生活の一助にすることができます。
また、肥満や運動不足、喫煙、過度な飲酒などががんの発症リスクを高めることが知られているため、食生活だけでなくライフスタイル全体を見直すことが大切です。
白血病の発症を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、健康的な食生活と生活習慣の改善を意識することで、リスクを抑えることができる可能性もあります。
毎日の食事を見直し、栄養バランスを意識した健康的なライフスタイルを実践していきましょう。
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