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大腸がんステージ2・3の症状は?治療法や術後の生活について解説!

大腸がんステージ2・3の症状は?治療法や術後の生活について解説!

大腸がんは日本における主要ながんの一つであり、その進行度合いによって治療方法や術後の生活が大きく変わります。

特にステージ2・3の大腸がんは、がんが周囲に広がり始め、リンパ節に転移するなどの症状が見られるため、適切な治療と術後の管理が求められます。本記事では、大腸がんステージ2・3の症状から手術治療法、そして術後の生活について詳しく解説します。

※大腸がんの概要については以下の記事を参考にしてください。
>>大腸がんとは?その症状について

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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大腸がんステージ2・3の状態や症状

大腸がんのステージ2は、固有筋層を超えてがんが周囲に広がり始めた状態です。また、ステージ3はがんの大きさや深さに関係なく、リンパ節に転移が見られる状態を指します。

ステージ2・3では腸管が徐々に悪性腫瘍に犯され、腹痛や便秘、下痢、血便、食欲低下、便通の悪化、残便感、お腹の張りなどの消化機能や排泄に関する症状が徐々に生じます。

わかりやすい自覚症状としては、便秘や下痢、血便などの便に関するものがありますが、これらは大腸がんに限ったことではなく、ちょっとしたストレスや疲れでも生じることがあるため見過ごされやすい症状でもあります。

大腸がんの症状について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>大腸がんステージ1の症状は?原因や治療方法を解説!

大腸がんステージ2・3の治療法

大腸がんステージ2・3の治療法
(参照:https://www.sano-hospital.or.jp/special/sanohp-cancer/kotaka/

大腸がんは主に盲腸~S状結腸までに生じる「結腸がん」と「直腸がん」の2分類に大別されます。主に悪性腫瘍が発生する部位は「S状結腸」と「直腸」です。

大腸がんステージ2・3の手術方法は、大腸内のどこに悪性腫瘍ができるかによって術式が変わります。

大腸がんの腫瘍摘出方法の主な切除方法は「開腹手術」と「内視鏡手術」の2種類に大別されます。

開腹手術

開腹手術はその名のとおり、全身麻酔下でお腹を大きく開けて手術する方法です。

現在でも大腸がんの標準治療の一つとなっており、目で見て確認できるだけではなく、腸管を直接触って確認することもできるので非常に精度が高い方法です。

病巣が大きながんの切除ほど、開腹手術で確実に取り除く方法を選択する医師もいます。

内視鏡手術

一方で近年急速に普及してきているのが腹腔鏡手術です。お腹を複数箇所、小さく切開するだけで体内の様子を見ながらがんの切除ができるため、患者さんの体のダメージを抑えることができます。

しかしながらカメラに映し出された画像越しに手術をしなくてはならないため、医師の高度なテクニックが求められる手術方法でもあります。また、カメラでとらえきれなかった部分の取り残しなどのリスクがあるデメリットもあります。

ロボット支援・内視鏡手術

「ダヴィンチ」という内視鏡支援ロボットを使ったロボット支援手術は近年急速に日本国内に普及しています。

大腸がんのなかでも、結腸がんは2024年から、直腸がんは2018年から保険適用となりました。

従来の内視鏡手術と同じように患者さんのお腹を複数箇所、小さく切開し手術する方法なのですが、内視鏡のカメラで映し出される映像が高解析度の3D画像で、お腹の奥深くまでを目視で見ているような立体画像で観察できます。

さらに最大10倍のズーム機能がついており、細かい血管や神経、筋肉、リンパ節などをわかりやすく拡大することも可能です。

大腸がんの手術においては、この繊細な手術操作が内視鏡下でできるようになったため、排便や排尿、性機能などを温存することで、手術後のQOLをできる限り向上させることが期待されています。

結腸がんの手術

結腸がんの手術
(参照:https://www.tdc.ac.jp/igh/tabid/839/Default.aspx

結腸がんの手術では、結腸のどこの部位に腫瘍ができたかによって切除する部位が変わってきます。

基本的にはがんがある腸管と隣接するリンパ節を切除するのですが、転移などの可能性を考えてがんの病巣から左右それぞれに10cmくらいの部分まで大きく切り取り、残った腸管の両側をつなぎ合わせる「吻合術」が基本です。

がんの病巣があり、切り取る場所によって結腸右半手術、横行結腸切除術、結腸左半切除術、S状結腸切除術、回盲部切除術にわけられます。

また腸管の近くにはリンパ節や血管が豊富に存在しているので、あわせて周囲のリンパ節や血管を同時に取り除くリンパ節郭清もおこないます。

リンパ節郭清の範囲について

リンパ節郭清の範囲について
(参照:https://1sur.naramed-u.ac.jp/about/guide-bowel.html

リンパ節を郭清する際に、どこまでを取り除くかはがんがある部位とステージ、転移の危険性や患者さんの術後QOLなど、さまざまな条件を考慮して決められます。基本的なリンパ節の切除範囲は主に3つにわけられています

・D1郭清:腸管の近くの腸管傍リンパ節を切除
・D2郭清:腸管に向かう血管に沿った中間リンパ節までを切除
・D3郭清:腸管に向かう血管の根元にある主リンパ節までを切除

直腸がんの手術

直腸がんの手術
(参照:https://1sur.naramed-u.ac.jp/about/guide-bowel.html

直腸がんの手術は結腸がんの手術に比べると一般的には難易度が上がります。がんのできた部位と進行の程度によって手術の方法は異なります。

直腸がんの手術において非常に重要になってくるのは「肛門の機能が温存できるかどうか」です。肛門部分の機能を残存できない場合には、人工肛門を作る手術を合わせておこなう必要があります。

排便の機能を温存する手術

排便の機能を温存する手術
(参照:https://1sur.naramed-u.ac.jp/about/guide-bowel.html

肛門側を2~3cm残して切除する方法で、切除後に残された腸管とつないで直腸の機能を温存します。

高位前方切除術・低位前方切除術・超低位前方切除術・括約筋間直腸切除術(ISR)などがこれにあたります。

肛門が残るので今までと同じようにお尻から排便をすることができます。腸をつなぎ合わせた状況や場所により一時的に人工肛門を作る場合もありますが、肛門機能が十分発揮できると確認できた時点で人工肛門は塞ぎます。

人工肛門を増設する手術

人工肛門を増設する手術
(参照:https://1sur.naramed-u.ac.jp/about/guide-bowel.html

肛門のすぐ近くにある直腸がんの場合や進行した直腸がんの場合には、直腸と一緒に肛門などの排便に関わる機能を発揮する組織も切除しなければなりません。

肛門を切除してしまうと排便ができなくなるので、結腸の一部をお腹から出して人工肛門を増設する手術が同時におこなわれます。

人工肛門は切除した口側の部分の腸管をお腹の穴から出して、そこから便が出てくるように作られます。主にS状結腸を利用しますが、本人が管理しやすいような場所に作られるので術前の患者さんとの相談が非常に重要となります。

人工肛門を増設したあとの生活

人工肛門を増設したあとの生活
大腸がんステージ2・3で術後の生活スタイルが大きく変わる要因になるのは人工肛門を作ったかどうかです。

人工肛門を作った場合、退院前に人工肛門のケアの仕方やどのように排泄をしていくかなど細かく指導されます。最初は戸惑いがあると思いますが、積極的に慣れて術後のQOLを高める一助にしていきましょう。

人工肛門の使い方にさえきちんと慣れておけば、手術前とほぼ変わらない生活が可能です。ジョギングなどの軽い運動はもちろん、長期の旅行も可能ですし温泉などに入るのも問題ありません。もちろん職場復帰も以前と同じように可能です。

人工肛門に使われるストーマ装具も年々改良が進み、きちんと装着できていれば臭いが漏れることはありません。

手術後も楽しく生活していくためには、人工肛門のケアとトラブル対策を習得しておくとともに、自分が生活する公共の場のオストメイト対応トイレの場所などを確認しておくことも重要です。

近年ではインターネットなどからも情報を得ることができますので、自分の生活圏をあらかじめ調べておきましょう。

大腸がんの手術後には補助療法として薬物療法が追加されることもある

大腸がんステージ2・3の進行状況や手術後の病理検査の結果によっては薬物療法などが追加される場合もあります。再発防止に向けた取り組みの一環や、思わぬ場所に転移が見つかった場合の治療などに導入されることもあります。

大腸がんの薬物療法にはさまざまな種類と薬剤の組み合わせがあり、患者様のステージと病態によって多くの使い分けパターンが存在します。

大腸がんの薬物療法について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
>>大腸がんステージ4の治療方法は?症状や余命について解説!

大腸がんステージ2・3の余命は?

大腸がんステージ2・3の余命は?
(参照:https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph#h-title

大腸がんステージ2・3の5年生存率は70%以上で推移しています。これはがん全体の数値を見てみても比較的高い数値を維持しています。

大腸がんはステージ2・3であっても比較的治療方法が多様で、後続する化学療法なども多様であることなどから良好な治療成績につながっていると考えられるでしょう。

また、大腸がんは3年以内の再発が多いとされています。治療後も定期的に受診を続けながら日常生活を意識して過ごし、自分の体の声に耳を傾けて生活することも重要です。

まとめ

まとめ
大腸がんステージ2・3の治療には、病状に応じた適切な手術法や必要に応じた薬物療法が重要です。手術後は人工肛門の管理や定期的な受診を通じて、術前と変わらない日常生活を送ることも可能です。

大腸がんの早期発見と適切な治療は、手術後の余命に大きく影響しますので、日頃から体の変化に敏感になり異変を感じたら早めに専門医の診断を受けることが大切です。

自分の健康を守るためにも適切な情報を持ち、正しい対処を心がけましょう。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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