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大腸がんになりやすい年齢とは?40代から始まるリスクと予防のポイントを解説

大腸がんになりやすい年齢とは?40代から始まるリスクと予防のポイントを解説

がんの中でも罹患者数が多く、早期発見での治療効果が比較的高いとされる大腸がん。実はこの大腸がん、40代を超えたあたりから罹患率が急上昇することをご存じでしょうか?特に50〜70代は発症のピークを迎える年代であり、「まだ若いから」と油断できないがんの一つです。

この記事では、「大腸がんになりやすい年齢」と「年齢と関連するリスク要因」に焦点を当て、生活習慣・遺伝・疾患背景など、発症リスクに関する最新の知見について解説します。

さらに、大腸がんの検査方法や早期発見の重要性についても触れていきますので、40代以降の方はもちろん、若いうちから予防意識を高めたい方も必見です。

日置医院長

この記事の執筆者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

詳しいプロフィールはこちら

大腸がんになりやすい年齢

大腸がんになりやすい年齢
(参照:https://www.onaka-kenko.com/daicho_share/

がんは全般的に年齢を重ねるごとに発症リスクが高くなる病気です。大腸がんの場合、日本では60代から70代にかけて最も多く、ついで50代と続きます。40歳以降になると急速に大腸がんの罹患率が上昇し50代以降に急増します。

つまり、その前段階となるポリープや初期病変の発生は、40代には始まっていると考えられるでしょう。

大腸がんになりやすい人が持っているリスクの傾向

大腸がんの発症には、加齢だけでなく生活習慣や遺伝的背景も関係していることがわかってきています。近年、日本における大腸がんの罹患率は年々増加しており、その背景には食生活の変化や運動不足、慢性的なストレスといった現代的な生活要因があると考えられています。

また、遺伝的な要因によって若年でも発症リスクが高まるケースも報告されており、家族にがんの既往がある場合には注意が必要です。

ここでは、大腸がんの発症リスクを高める代表的な因子について、生活習慣と遺伝の2つの観点から詳しく解説していきます。

生活習慣

日本人の大腸がんの罹患率上昇の背景には、以下のような生活習慣が要因になっていると考えられています。

①食生活の欧米化

食生活の欧米化により腸内細菌が有害物質を発生させて、がんの発症を促したり、添加物によって発がん性物質が生じたりするなどリスクファクターが増えてきました。また、動物性脂肪を中心とした高脂肪食、食物繊維摂取量の減少が要因とも考えられています。

②運動不足

便利な家電製品や交通手段の発達によって、体を動かすことが減り現代人は運動不足になったことも関係していると考えられています。

③ストレス

日常的に過剰なストレスを受けやすくなっている現代社会。腸はデリケートなのでストレスの影響を強く受け、免疫機能を低下させると考えられています。

加齢

がんは老化の病気ともいわれていますが、年齢を重ねるにつれて生活習慣によるリスクファクターが蓄積されがんの発症につながると考えられています。

遺伝

大腸がんは親から子どもへの遺伝によって発生することもあります。私たちの体には約10万対の遺伝子が存在するのですが、この遺伝子が細胞分裂の際に正常にコピーされずエラーを起こすことがあります。

しかし実際には、遺伝子に異常が起きると、その異常を修復するがん抑制遺伝子が、細胞のがん化を防ぎ、がんの発生にブレーキをかけています。

がんになりやすい人の遺伝的傾向として、両親や兄弟などの血縁者にがんになった人がいる場合とそうでない人を比べると、がん抑制遺伝子の働きや細胞分裂におけるエラー発生傾向など、遺伝子の異常が起きやすいと考えられています。

以下に代表的な遺伝性疾患を紹介します。

家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症:FAP)

大腸全体に数百〜数千個もの腺腫性ポリープが発生するのが特徴です。原因は、がん抑制遺伝子であるAPC遺伝子の異常です。FAPの患者さんは、ポリープのほぼすべてが腺腫(前がん病変)であり、ほぼ100%の確率で大腸がんを発症するとされています。

通常、40歳前後までにがん化するリスクが高いため、早期の診断と治療が極めて重要です。定期的な内視鏡検査による経過観察はもちろんのこと、進行例では予防的な大腸全摘手術がおこなわれることもあります。

遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)

リンチ症候群(HNPCC:HereditaryNon-PolyposisColorectalCancer)は、大腸ポリープがあまりできないにも関わらず、若い年齢で大腸がんを発症しやすい遺伝性のがん症候群です。

遺伝子異常によりDNA複製のエラーが修復されず、細胞ががん化しやすくなります。リンチ症候群では、大腸がんだけでなく、子宮体がんや胃がん、卵巣がん、尿路系のがんなど、他のがんも併発しやすいことが知られています。

大腸がんの予防方法

大腸がんの予防方法
大腸がんは加齢とともにリスクが高まるとされており、40代以降の方は特に注意が必要です。ただし、生活習慣を見直すことで予防につなげることが可能です。

予防のポイントは以下の通りです。

  • 野菜や食物繊維を多く含むバランスのとれた食事
  • 加工肉・赤身肉・アルコールの過剰摂取を控える
  • 定期的な運動と適正体重の維持
  • 禁煙
  • 便潜血検査など定期的な検診の受診

 
詳しい生活習慣の見直しや食事の注意点については、以下の記事も参考にしてください。

>>大腸がんになったら食べてはいけないものとは?生活習慣から手術後の注意点まで徹底解説

大腸がんの原因

大腸がんの発症には、さまざまな要因が関与しています。加齢や遺伝的背景に加え、日々の生活習慣や腸の慢性的な炎症もリスク因子として知られています。例として、食生活の欧米化や運動不足、腸の炎症性疾患の罹患歴は、大腸の細胞に異常が生じやすくなり、がんへとつながるケースも少なくありません。

ここでは、大腸がんの主な原因として考えられている要素を3つにわけてご紹介します。自分自身に当てはまるリスクがないかを知り、予防や早期発見のための行動につなげましょう。

炎症性疾患

潰瘍性大腸炎のような炎症性の病気からも、まれにがんが発生することもあります。大腸がんの原因のひとつに、炎症性腸疾患(IBD)があります。代表的なものが「潰瘍性大腸炎」で、大腸の粘膜に慢性的な炎症が続く病気です。特に10年以上の長期にわたり炎症が持続する場合、がん化のリスクが上昇する要因の一つとされています。

また、潰瘍性大腸炎では、繰り返される炎症により粘膜の細胞がダメージを受け、再生と修復を繰り返すうちに遺伝子の異常が蓄積されやすくなります。これが、がん細胞への変異を引き起こす一因と考えられています。

とはいえ、すべての潰瘍性大腸炎の患者ががんになるわけではなく、定期的な内視鏡検査による経過観察と、炎症のコントロールを適切におこなうことで、がん化のリスクを下げることができるでしょう。

ポリープ

大腸は、消化器の中でも比較的ポリープができやすいと考えられている臓器で、内視鏡検査をすると見られやすい症状です。しかし、ポリープのすべてががんになるわけではありません。

ポリープは、腺腫とそれ以外のものにわけられます。腺腫とは、大腸の粘膜の上皮細胞から発生する良性腫瘍を指しています。一方それ以外は老化による細胞のシワのようなものや、何らかの疾患による炎症性のものなどがあります。

このうちがんになる可能性のあるポリープは「腺腫」で、それ以外のものががん化することは比較的まれと考えられています。腺腫は大腸ポリープの約80%を占めています。

1cm以上になる腺腫は少なく、だいたい数ミリから1cm以下です。これまでの考えで腺腫の中でも1cmを超える大きなものはがんになる確率が高いこともわかっています。

ですので、大腸がんの予防的措置として5mm以上のポリープは、内視鏡により予防的に切除しておくこともあります。

大腸がんの検査方法

大腸がんの検査方法

大腸がんは、自覚症状が出にくいがんのひとつです。そのため、早期発見には定期的な検査が非常に重要です。

一般的に大腸がん発見のために検診などで最初におこなわれるのが「便潜血検査」です。便に微量な血が混ざっていないかを確認し、陽性であれば精密検査へ進みます。

便潜血検査で異常が見られた場合、大腸内視鏡検査に進みます。肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を直接観察することで、ポリープやがんを高精度に発見・診断できます。

ほかにも、注腸X線検査やCT・MRIといった画像検査、血液検査で腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)を測定する方法も補助的に用いられます。

詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

>>大腸がんの初期症状とは?早期発見のために気にするべきことについて解説!

大腸がんの治療方法

大腸がんの治療は、がんの進行度(ステージ)や患者さんの体力、年齢、合併症の有無などによって異なります。主な治療法は以下の通りです。

外科手術

ステージ0〜III期では、がんのある部分を切除し、正常な腸管同士をつなぐ「吻合術(ふんごうじゅつ)」が基本治療となります。進行がんでも、腸閉塞の予防や症状緩和のために手術をおこなうことがあります。

化学療法(抗がん剤治療)

ステージIII以降や手術不能な場合は、抗がん剤による治療がおこなわれます。FOLFOXやFOLFIRIといったレジメンが用いられ、必要に応じて分子標的薬(例:ベバシズマブ)を併用します。

放射線療法

直腸がんの一部では、手術の前後に放射線治療をおこなうことで、局所再発のリスクを下げる効果があります。

緩和ケア

治癒を目指す治療が難しい場合でも、痛みの緩和やQOL(生活の質)を保つための緩和ケアが提供されます。

詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
>>大腸がんステージ2・3の症状は?治療法や術後の生活について解説!

>>大腸がんステージ4の治療方法は?症状や余命について解説!

大腸がんのステージ分類

大腸がんの進行度は、一般的にステージ(病期)I~IVの4段階にわけて分類されます。このステージは、がんの広がり具合(浸潤の深さ)・リンパ節転移の有無・遠隔転移の有無をもとに決定され、治療方針や予後の見通しを立てる際の大切な情報です。

  • ステージI:がんが粘膜や筋層までにとどまっており、転移もない初期段階。
  • ステージII:がんが腸壁の外まで進展しているが、リンパ節転移はない。
  • ステージIII:がんがリンパ節に転移している段階。複数個ある場合もある。
  • ステージIV:がんが肝臓や肺など、遠隔の臓器に転移している最も進行した状態。

 
ステージが進むほど、治療が複雑になり完治の難易度もあがります。つまり、できるだけ早い段階での発見と治療を進めるのが重要です。

詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

>>大腸がんの進行速度は?ステージ別の特徴や正しい治療法・生存率について解説!

大腸がんは早期発見が重要

大腸がんは早期発見が重要
(参照:https://diamond.jp/articles/-/201982

大腸がんは、早期に発見されれば高い確率で治療が可能ながんです。早期の段階であるステージIやIIの段階であれば、手術によって完治する可能性が高いとされています。実際に、早期がんのステージ0-Ⅰであれば5年生存率は90%を超えます。

一方、進行してしまうとリンパ節や遠隔臓器への転移をともなうことが多く、抗がん剤や放射線などの全身的な治療が必要になる症例も増えてきます。また、再発のリスクも高まり、生活の質(QOL)や治療の負担が大きくなるのが現実です。

便潜血検査や内視鏡検査といったシンプルかつ有効な検査を定期的に受けることで、がんの種を早く見つけ、命を守る確率を高める一助にできるでしょう。

40歳を超えたあたりから意識的に検診を受けて、大腸がんの早期発見・対策に努めたいですね。

まとめ

大腸がんは、年齢とともにリスクが高まるがんの代表格です。世代的には40歳を境に発症率が上昇し、50代・60代でピークを迎えることから、年齢とともに意識的に検診を受けることが重要です。

また、食生活や運動習慣、ストレス管理といった日常的な生活習慣の見直しが予防の一助となるでしょう。

さらに、遺伝性の大腸がんは若年でも発症のリスクがあり、家族歴がある場合は特に注意が必要です。早期に発見できれば治療の成功率も高く、生活の質(QOL)を保ったまま社会復帰も可能です。

年齢を重ねるごとに、自分の体と向き合う時間を持つことが、がん予防への第一歩です。健康診断や便潜血検査、大腸内視鏡などの検査を積極的に活用し、早期発見・早期治療に努めていきましょう。

近年のがん治療には統合医療もおこなわれるようになっています。

なかでも注目を集めているのがフコイダン療法。中分子フコイダンが持つ作用に着目した療法で、がん治療によい効果をもたらすと期待されています。

フコイダン療法は、抗がん剤との併用が可能です。

それだけではなく、抗がん剤と併用することでその効果を高め、副作用の軽減も見込めると言われています。

「中分子フコイダン」を用いた臨床結果の一例を紹介しています。どういった症状に効果があるか具体的に知りたい方は臨床ページをご覧ください。
>>「中分子フコイダン」を用いた臨床結果

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

がん治療における選択肢の1つとしてフコイダン療法があることを念頭に置き、医師と相談したうえでベストな治療方法を考えていきましょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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