症例集
臨床例⑦:ステージⅢAの浸潤性乳管がん(70歳女性)
左胸に自覚できるしこりが見つかり、進行乳がんと診断された 70 歳女性の症例です。術前の抗がん剤治療とともに中分子フコイダン療法を併用した結果、腫瘍が大きく縮小し、予定されていた乳房全摘出を回避できました。進行が早く治りにくいタイプのがんでしたが、抗がん剤と中分子フコイダンの併用により大きな効果が得られたことを示唆する症例です。
症例
2024年1月、患者ご本人が左乳房に腫瘤を触知し受診。
CT検査の結果、左乳房外側上部に 33×40mm の腫瘤を認め、さらに左腋窩リンパ節の腫大が確認された。針生検では「浸潤性乳管がん+リンパ節転移」と診断され、ホルモン受容体 ER(-)、PgR(-)、HER2陽性、Ki67が50%の高値を示すことから、難治性が想定された。
このような診断結果を受け、抗がん剤による術前化学療法を開始し、さらにその効果を高める目的で中分子フコイダンの併用を行いました。
治療方法
<術前化学療法(2024年3月~)>
- 分子標的薬+細胞障害性抗がん剤
(ペルツズマブ・トラツズマブ配合製剤「フェスゴ」とパクリタキセル)
<フコイダン併用(2024年4月~)>
- 中分子フコイダン 400mg/日(フコイダンドリンク 50mL 1本/日)を
3か月間継続摂取
治療経過
<抗がん剤+フコイダン併用(約3か月間)>
- 乳房の腫瘤、リンパ節の腫れが大幅に縮小し、触診では確認できないレベルまで改善
<手術(2024年8月)>
- 当初は乳房全摘出を予定していたが、腫瘍が十分に縮小したため、
- 術後の病理検査で、腫瘍の大きさは 13mm まで縮小していたと判明
乳房部分切除+リンパ節郭清で対応
担当医の見解
患者さんご本人が乳房の腫瘤に気づいて来院されました。気づいたときにはかなり大きく、腋窩リンパ節も固定されているような状態で、ステージⅢA期より進行している可能性もありました。
Ki67が高値であり難治性であることから、抗がん剤治療だけでなく中分子フコイダンとの併用を勧めました。中分子フコイダンは抗がん剤との併用でとても効果が高いと言われており、抗がん剤の副作用も軽減すると数多く報告されているからです。
フコイダンの作用はいくつもありますが、私はがん細胞にアポトーシス(細胞の自然死)を促進する作用が、がんに対しては最も重要だと考えています。
そもそも、がん細胞は本来アポトーシスによって死滅するはずの細胞が、この仕組みを逃れることで「不死」という性質を獲得し、増殖し続けるという特徴があります。抗がん剤の治療単独では、増殖を抑えることはできても「不死」を打ち破ることは困難です。生き延びたがん細胞が再び増殖し、再発に繋がる可能性があるからです。
この点で、フコイダンと抗がん剤との併用はがん細胞の不死性に働きかける力を高め、治療効果が向上するのだと考えています。
今回の患者さんの乳がんはKi67が高値であり、難治性といわれるタイプのがんなので、当初予定されていた乳房全切除術ではなく、部分切除で済んだことはフコイダンの併用が奏功した可能性が高いと考えています。引き続き、再発防止のために慎重に経過を観察していく予定です。