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海藻の化学

海藻の栄養素とは?健康に良い理由とは?

「海藻は体に良い」と、なんとなく聞いたことがある方もいるかもしれません。
実際、海藻は現在世界的に注目されている食品です。今回は、海藻のもつパワーについて学んでいきましょう。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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海藻は栄養素の宝庫

海藻には、健康に対する良い影響が多数認められています。含まれている栄養素に、どんな効果があるのでしょうか。

食物繊維が1日分の15%摂れる

食物繊維には、第6の栄養素と呼ばれるほど体にとって大切な機能があります。満腹感を高めたり、排便をスムーズにする働きが代表的です。
また、食物繊維には、コレステロールの排出を促したり、血糖値の急上昇を抑える働きもあります。生活習慣病の予防・改善に役立つでしょう。腸内細菌が食物繊維を食べることで腸内環境がよくなり、大腸がんの予防になるなどとも言われています。

わかめサラダやひじきの煮物などを1品食べる場合、1人前で海藻が約10〜20gほどになり、含まれる食物繊維の量は3g程度になります。食物繊維の中でも、水溶性食物繊維は摂取が難しいのですが、海藻は水溶性食物繊維が多く含まれる貴重な食品です。※1

日本の成人が1日に摂っている食物繊維はおよそ18gで、目標摂取量は20gですから、1日1品海藻を使ったおかずを追加するだけで目標量を達成できますよ。※2

食物繊維の働きや摂取方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>食物繊維とは?働きや摂取の方法についてご紹介

※1 厚生労働省.国民健康・栄養調査結果の概要

※2 e-ヘルスネット.食物繊維の必要性と健康

ミネラルがたっぷり

海藻には、鉄分、カルシウム、ヨウ素などのミネラルが豊富に含まれています。ミネラルは体内で作られない栄養素なので、食事からバランスよく摂取しなくてはなりません。※3

鉄分は、貧血予防に有効です。特に女性は月経がありますから、月経前~月経中だけでも鉄分を多めに摂取できるとよいでしょう。海藻の他には、レバーやほうれん草などから摂取できます。

カルシウムは、骨の健康や神経の安定に重要な栄養素です。骨密度は20歳ごろをピークに下がっていきますから、子どものうちからしっかりカルシウムを摂る必要があります。牛乳などの乳製品に加えて、わかめご飯やお味噌汁など子どもにも食べやすいメニューでカルシウムを補充してあげましょう。※4

ヨウ素は、甲状腺ホルモンの材料として使われます。甲状腺ホルモンは、心臓や血圧の調節をしたり、神経系を正常に働かせたりと、重要なホルモンの1つです。不足しても過剰になってもいけません。海藻のほか、乳製品や卵、魚介類に多く含まれるため、ヴィーガンの食生活をしている方は不足しがちです。※5
海藻にたくさん含まれるマグネシウムやカリウムは、高血圧予防に繋がります。

また、高血圧の原因になる塩分のナトリウムを排出させる作用があるためです。また、カリウムにも塩味があるため、減塩の食事でも海藻を入れることで美味しく食べられるというメリットもあります。

※3 e-ヘルスネット.ミネラル

※4 e-ヘルスネット.骨密度

※5 厚生労働省.ヨウ素

フコキサンチンには美容効果

わかめ、もずくなどに含まれる成分にフコキサンチンというのがあります。人工的に合成することができず、海藻類以外にはない成分なので貴重です。
実際に、肥満の成人女性で体重や体脂肪、肝臓の脂肪、血中のコレステロールの減少が認められています。※6
さらに、糖尿病の程度を示すHbA1cを改善する、紫外線による皮膚の老化を抑えるなどの効果も報告されています。※7
皮膚の老化に関しては、シワの発生を抑える、皮膚が厚くなるのを防ぐ、コラーゲンの減少を抑えるなどが関わっているようです。
海藻を食事に取り入れるだけで皮膚の美容が期待できるのであれば、とてもコスパが良いですね。※8

海藻以外には、ビタミンやタンパク質も皮膚の健康維持に効果的であると言われています。
以下の記事では、美肌に良いとされている食べ物をご紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。
>>美肌に良い食べ物とは?老化の原因や健康のためのビタミンについて解説

※6 The effects of Xanthigen in the weight management of obese premenopausal women with non-alcoholic fatty liver disease and normal liver fat.M Abidov et al.Diabetes Obes Metab. 2010 Jan;12(1):72-81.

※7 Nordic Seaweed and Diabetes Prevention: Exploratory Studies in KK-Ay Mice.Lasse E. Sørensen et al.Nutrients. 2019 Jun; 11(6): 1435.

※8 皮膚に対する作用に注目した食品機能成分の評価.菅原達也.Trace Nuture Reaserch 32:72-77.2015.

心筋梗塞や脳卒中の減少も

日本人を対象にした研究では、海藻の摂取量が多い人ほど心筋梗塞や脳卒中などの発症が少ないことがわかりました。
ほとんど食べない人に比べて、毎日のように食べる人では、およそ30%ほどリスクが低かったのです。これは大きな違いではないでしょうか。※9
どの成分による効果なのかはわかっていませんが、食物繊維が関与していると考えられています。

※9 Seaweed intake and risk of cardiovascular disease: the Japan Public Health Center-based Prospective (JPHC) Study. Utako Murai et al.Am J Clin Nutr. 2019 Dec 1;110(6):1449-1455.

海藻の効果的な食べ方

海藻の効果的な食べ方

しっかりと海藻の恩恵を得るために効果的な食べ方をご紹介します。

油やお酢と合わせる

海藻には、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、Kが含まれます。
脂溶性というのは、油に溶けて体内に吸収されるという意味です。ですから、油で和えるなどの方法で調理することで効率よくこれらのビタミンを摂取することができます。

オイルの含まれたドレッシングを使用する、ツナ缶と和えるなどはいかがでしょうか。ひじきの煮物には、炒め油を使用するほか、油揚げも入れると効果的です。

また、お酢には、食物繊維を柔らかくする効果があります。
わかめを生で食べると、コリコリと歯応えが強く、少し食べにくいと感じる方もいるかもしれません。お酢で和えて調理すると、柔らかく食べることができますよ。
さらに、お酢にも血糖値の上昇を穏やかにしたり、体脂肪を減らしたりと、海藻と似たような効果があるので、相乗効果が狙えます。

もずく酢、わかめとキュウリの酢の物などを取り入れてみませんか。

あまり過熱しすぎない

加熱によって、海藻に含まれる食物繊維が少し失われてしまうことがわかっています。火を通す場合にはさっと行うようにしましょう。
もずく、昆布などに含まれる成分であるフコキサンチンは、熱に強く、加熱しても80%ほど残ります。昆布はしっかりと火を通しても大丈夫です。※10

※10 海藻のフコキサンチン分析.食産業技術支援グループ 鳥海滋吉岡武也.北海道立工業技術センター

まとめ:海藻を普段の食生活に

海藻は、排便をスムーズにする、生活習慣病の予防・改善が見込める、美容にも良いなど、さまざまなメリットのある食品です。
1日1品、調理にもひと工夫を加えて、より効果的に恩恵を受けていきましょう。

また、もずくやめかぶ、昆布に含まれる「フコイダン」という成分には健康に対するさまざまな作用があることが報告されているため、積極的に普段の食事に取り入れてみるといいでしょう。
>>フコイダンとは何か?種類や成分と健康への影響について解説

フコイダンで報告されている作用は、現時点で以下の通りです。

抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用

中でも注目したいのは、日本の死因第1位であるがんに対する作用です。

がん治療の統合医療においてフコイダンは、抗がん剤との併用が可能であり、かつその効果を高めたり、副作用を軽減したりすると期待されています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

毎日の食事に気軽に取り入れられることから、治療だけではなく予防のための活用も可能。

フコイダンは、様々な病気に対する良いアプローチを見込める成分です。健康維持にぜひお役立てください。

そんな美容と健康に対してさまざまな作用をもたらすフコイダンを効率的に摂取できる方法として、最近では「中分子フコイダンドリンク」にも注目が集まっています。

毎日飲むだけで簡単に続けられるので、フコイダンに興味がある方はぜひ、こちらもあわせて検索してみてはいかがでしょうか。

「中分子フコイダンドリンク」で調べると、中分子フコイダンや中分子フコイダンドリンクについてさらに詳しい情報を得ることが可能です。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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