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海藻の化学

【フコイダン】めかぶに含まれる成分とは?効能とヌメリの秘密について

日頃の生活の中で、めかぶを積極的に食べている方はどのくらいいるでしょうか?
めかぶは、栄養素の種類も量も豊富で、とても健康によい食べ物の1つです。今回は、めかぶの栄養成分とその効能、また、どんな食べ方があるのかをご紹介します。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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めかぶはどんな食材?

めかぶとは、わかめの根元部分を指します。海藻でひらひら海に舞っている部分がわかめ、下の生えている部分がめかぶです。めかぶはわかめよりも、こりこりとした食感を楽しめます。たたいて刻んだ「たたきめかぶ」やシシャモなどの卵を混ぜた「子持ちめかぶ」、保存しやすいように塩漬けした「塩蔵めかぶ」などさまざまな方法で加工されています。

縄文時代から親しまれためかぶ

めかぶは、縄文時代から食べられていたとされています。縄文時代の貝塚からは海藻が発見されました。はるか昔の時代から、めかぶなどの海藻類が食されていることがわかります。

続いて、めかぶの歴史をみていきましょう。「大宝律令」という日本で初めての律令制度が、701年制定されました。そのなかに、めかぶはマナカシとして、わかめはニギメとして記載されています。今でいう税金にあたる年貢として定められているのです。さらに、平安時代である967年(康保4年)に出された、律令を施行する際の細かい規則である「延喜式」をみてみましょう。主要な税目として、めかぶである海藻根が記載されています。

歴史からもめかぶは、日本人にとって昔から食べられている親しみのある食材だということがわかりますね。

低カロリーなめかぶの豊富な栄養成分

めかぶは低カロリーでありながら、栄養素や成分が豊富に含まれています。毎日摂ることで、健康効果にも期待することが可能です。ここでは以下の4つの栄養成分を紹介します。

  • フコイダン
  • アルギン酸
  • フコキサンチン
  • ミネラル

順番にみていきましょう。

フコイダン

フコイダンとは、めかぶに含まれるネバネバ成分です。わかめのなかでもめかぶには、多くのフコイダンが含まれています。

めかぶのフコイダンには、肝細胞の再生促進やデトックス効果が期待できます。肝臓は代謝機能に関与し、アルコールや薬の代謝などをおこなっている臓器です。めかぶのフコイダンは、肝細胞の再生を促すことで毒性を排出しデトックス効果につながります。

フコイダンが多く含まれる食べ物や、フコイダンで報告されている作用などについては以下の記事も参考にご覧ください。
>>フコイダンとは何か?種類や成分と健康への影響について解説

アルギン酸

アルギン酸もめかぶのネバネバ成分です。天然の食物繊維として知られています。1883年に初めて単離された成分です。アルギン酸には便を柔らかくしたり、胃腸の調子を整えたりする効果が知られています。便秘の方におすすめですね。

また、めかぶのアルギン酸は体内でカリウムに分解されます。カリウムは体の中の塩分であるナトリウムと結合して、体外に排出されるので血圧を下げる効果も期待できます。

フコキサンチン

フコキサンチンとは、カロテノイドの一種です。カロテノイドには強い抗酸化作用があり、活性酸素を抑える働きが期待されています。活性酸素は老化の原因とも考えられているので、健やかな生活を送りたい方におすすめの成分です。

1914年に発見され、1969年化学構造が決定されました。他にも抗がん作用や強い抗炎症作用、抗肥満作用、抗糖尿病作用なども発見され注目を浴びています。

ミネラル

めかぶには多くのミネラルが含まれています。カルシウムは、健やかな骨や歯を作るのに必要なミネラルです。骨粗しょう症の予防にもつながります。

めかぶには、甲状腺ホルモンの成分となるヨウ素が多く含まれています。体の基礎代謝を向上させる働きや成長を促す作用から、子どもにとっても必要な成分です。ただし、バセドウ病など甲状腺ホルモンが多くなる病気がある場合は、摂りすぎに注意しましょう。

他にも貧血予防につながる鉄分など、さまざまなミネラルを含んでいます。

めかぶに含まれるフコイダンとは?

めかぶに含まれるフコイダンとは?
フコイダンとは、めかぶのネバネバに含まれる成分です。食物繊維の一種でもあります。1913年にスウェーデンの学者によって発見されました。めかぶだけでなく、わかめやもずくなどの海藻に含まれる成分です。

抗腫瘍・抗がん作用や抗血液凝固阻止作用、抗ピロリ菌作用など、私たちの健康に関与する成分として注目されています。また肌や髪の毛にも効果が期待され、化粧品などの開発も進められている成分です。フコイダンは海藻から発見された自然由来の成分なので、安心安全な栄養素であると考えられています。

また、フコイダンは分子量の違いで大きさが分類されています。低分子フコイダン、中分子フコイダン、高分子フコイダンです。分子量が大きいと、体に吸収されにくいという特徴があります。

低分子フコイダンのように、分子量が小さすぎるとどうでしょうか。構造が崩れてフコイダンとしての性質がうまく発揮できない可能性もあります。フコイダンが効果を発揮するのに重要な「高分子多糖体」構造を崩さず、体内にも吸収されやすくするためには、中分子フコイダンがおすすめです。

近年のがん治療においては、統合医療もおこなわれるようになり、上記のような効果が期待できることからフコイダンに注目が集まっています。フコイダンは、抗がん剤の効果を高めるだけではなく、その副作用も軽減することが期待できるとされているのです。フコイダン療法について、詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。

>>統合医療としてのフコイダン療法とは?

フコイダンの含有量

フコイダンの含有量をみてみましょう。めかぶのフコイダン含有量は100g/Kg(乾燥重量)といわれています。めかぶにおける葉の部分であるわかめは15g/Kg(乾燥重量)なので、めかぶのほうがフコイダンを効率よく摂取できると考えられますね。

フコイダンを継続して摂るために、毎日めかぶを摂るのが難しいことも。その場合は、サプリメントなどで天然由来のフコイダンを摂取するのもおすすめの方法です。

効果的な調理方法

効果的な調理方法
めかぶからフコイダンを摂取したい場合は、以下の調理方法で効果的に摂ることができます。

  • めかぶ×酢
  • めかぶ×納豆
  • めかぶの汁物

あわせる食材によって、めかぶの栄養素をさらに効果的に摂取することが可能です。ぜひ試してみましょう。

めかぶ×酢

お酢に含まれる酢酸は、血糖値の急激な上昇を抑える作用が期待できます。また体脂肪の蓄積を防ぐ効果も知られています。お酢に含まれるアミノ酸やクエン酸には、疲労回復効果も。さっぱりした味付けになるので、夏バテにおすすめです。他にもお酢のもつカルシウムの吸収を促す作用は、カルシウムを多く含むめかぶとの相性はよいでしょう。

めかぶ×納豆

納豆は、めかぶと一緒に食べることで相乗効果を得られる食品です。ネバネバ感があるという同じ特徴があります。納豆はめかぶと同じように食物繊維が多く含まれ、食後における血糖値の上昇を抑えるという作用があります。ネバネバ成分は、糖質にからまり腸からの吸収を穏やかにするからです。

また、食べる順番も重要です。食前または食事の最初にめかぶと納豆を混ぜたものを食べるようにしましょう。最初に食べることで、食物繊維の効果により満腹感を得やすくなります。食事自体の量も減らせるので健康が気になる人におすすめですね。

めかぶの汁物

めかぶを含めた海藻類に含まれる栄養素は、乾燥や加熱によって失われることはほとんどありません。しかし、水溶性の栄養素は茹でることで煮汁に溶け出す可能性があります。よって、めかぶの煮汁も飲める、汁物がおすすめです。

めかぶの食物繊維は水溶性なので、胃や腸の中をゆっくりと移動します。めかぶの汁物を食事の最初に食べるだけでも満腹感が得られ、食べすぎの予防にもつながります。さらに、めかぶの汁物には栄養素が豊富に含まれる野菜やねばりのあるなめこなどをいれるのもおすすめです。

めかぶの保存方法

スーパーマーケットでよくみるめかぶは、パックにはいっているものが多いのではないでしょうか。購入してもすぐに食べられない場合は、未開封のパックであればそのまま冷凍できます。食べる際はしっかり解凍させてからにしましょう。

また、生のめかぶを保存したい場合は、冷凍する前に水洗いや湯通しが必要です。水気を切り、食べやすい大きさに切ったら、保存袋にいれて冷凍しましょう。保存袋にいれたら、できるだけ平らにして空気を抜きます。冷凍後は約1ヵ月、保存が可能です。使用する際は、必要な分だけ取り出します。

まとめ

めかぶの栄養素や食べ方などについて紹介しました。めかぶは、日本人にとって昔から好んで食べられている食材のひとつで、豊富な栄養を含む海藻です。

めかぶに含まれるフコイダンにも注目してみましょう。まだまだ研究されている段階ですが、フコイダンは抗がん作用など、今後の健康効果に期待できる天然由来の成分です。めかぶを毎日の食卓に取り入れて、健康的な日々を過ごしてみませんか?

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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