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海藻の化学

昆布の栄養素と効果とは?健康への影響など解説

そのまま食べても、出汁をとっても美味しい昆布。
「昆布はからだによい」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、具体的にどんな効能があるのかご存じですか?
今回は、昆布がからだに及ぼすメリットを解説します。

日置医院長

この記事の執筆者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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便秘解消

昆布に含まれるアルギン酸やフコイダンは、便の量を増やすなどの効果を通じて便秘解消の助けになります。
アルギン酸やフコイダンは、水溶性食物繊維の1つ。水に溶けるとゼリー状になり、便に水分を含ませてくれます。便がカチカチで便秘になっているタイプの方には、積極的に取り入れてもらいたい成分です。
水溶性食物繊維は、不溶性食物繊維に比べると含まれている食品の種類や量が少なく、摂取が難しい成分といえます。令和元年の調査によると、水溶性食物繊維:不溶性食物繊維を1:3の割合で摂取しているようです。水溶性食物繊維7gを追加で摂取させたところ便秘が解消したという研究があり、水溶性食物繊維:不溶性食物繊維を1:2程度で撮るのがよいのではないかと考えられています。

血圧コントロール

血圧コントロール
昆布は、血圧のコントロールのサポート効果も期待されています。
塩の成分で、高血圧の原因になるナトリウムを、からだの外へ排出する働きがあるのです。昆布に含まれる食物繊維であるアルギン酸がナトリウムを吸着し、からだの中に吸収されるナトリウムの量を減らします。その結果、減塩しているのと似たような効果が発揮され、血圧が下がりやすくなるという仕組みです。

大人だけでなく、子どもの血圧コントロールにも有効という報告があります。
子どもは高血圧とは無縁と考えている方が多いですが、子どもの高血圧は少し増えてきているようです。といっても、割合としては1〜3%ほどですが、心臓病や動脈硬化のリスクが高くなるため、できるだけ避けた方が好ましいでしょう。
子どものうちから、昆布を食べる習慣をつけてみてはいかがですか。

減塩の助けにも

昆布のうまみ成分である「グルタミン酸」を利用することで、減塩調理をしても物足りなさを感じにくくなります。
減塩を意識すると、どうしても「味が物足りない」と不満を感じてしまい、減塩を続けられないという方が少なくありません。そんなときに大切なのが、「しっかりと出汁をとること」なのです。
グルタミン酸は、うまみ調味料の1つ。減塩した上でグルタミン酸を添加したところ、単純に塩の量を減らした場合よりも食品中のうまみ・塩味が感じられたという結果が報告されています。
「減塩をしたいけど、味の問題でうまく続けられない」という方は、昆布でしっかりと出汁をとってみてはいかがでしょうか。

ピロリ菌から胃を守る

昆布に含まれるフコイダンは、ピロリ菌が胃に棲みついて胃炎を起こす頻度を下げることがわかっています。
ピロリ菌は、存在するだけで胃炎や胃がんのリスクになるものです。除菌することで、胃がんの発生率が下がることが報告されています。
フコイダンは、ピロリ菌が胃粘膜にくっつくのを邪魔し、胃のなかのピロリ菌の数を減らすことで胃炎を防止してくれます。また、ピロリ菌以外にも、鎮痛剤によって胃粘膜の荒れるのを抑える効果もあるそうです。

胃が弱く、胃もたれや胸焼けを感じている方は、昆布を取り入れてみるのもよいでしょう。

髪や肌を健康にする

髪や肌を健康にする
昆布にはヨウ素が豊富にふくまれ、髪や肌の健康維持に一役買っています。
ヨウ素は、甲状腺ホルモンの材料です。甲状腺ホルモンは、体の機能を維持するほか、髪の毛の成長を促したり、肌のターンオーバーを活発にしたりといった美容によい働きをしています。実際、甲状腺ホルモンの分泌量が低下する甲状腺機能低下症では、脱毛や皮膚乾燥といった症状が出ます。

ただし、ヨウ素の摂取量は、日本人ではほとんどの方で十分足りているため、サプリメントなどで補う必要はありません。

まとめ

今回は、昆布をとることで得られる健康上のメリットを5つご紹介しました。
ご自身にとって、役に立ちそうだと感じる効能はありましたか?ぜひ、毎日の食卓に昆布を取り入れてみてください。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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